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ほとんど同時にレジに向かった私と丸山さんは、必然的にコンビニを出るのも同じタイミングだった。
丸山さんはあの角の建設会社の建物を右に曲がって坂を上ってすぐのアパートに住んでるらしい。それは、ちょうど会社とうちの中間地点くらいになる。
すぐに立ち去るのも感じが悪い気がして、それで成り行きで私は丸山さんと海岸沿いを並んで歩いていた。
「猫、飼ってはるんですか？」
話が一度途切れた後、丸山さんは私にそう尋ねる。
丸山さんの関西弁は、タツのとはすこしちがう。
タツの関西弁が六角形なら、丸山さんの関西弁はまんまるだと思った。タツのがコーヒーなら、丸山さんのは梅こんぶ茶。
「ちゅ〜る、さっき手に持ってはったなって。」
「ああ…私は飼ってないんですけど、実家で。今度帰ったときにあげようと思って。」
本当はなにも考えずに、買ってしまった。帰ればいいのにってタツには言われたけれど、まだ帰る気になったわけでもなくて、本当になにも考えずに。
「うちも実家で猫飼っとって、同じですね！何猫ですか？」
「黒猫です。丸山さんのご実家は何猫ですか？」
「うちのはキジトラです。猫で、キジトラやのに、クマって名前なんです。妹がつけたんですけど。」
ややこしいですよね、と笑う丸山さんに私もたしかに、とすこし笑う。
「ちゅ〜る、クマも好きです。特に和牛とささみのが。」
風が吹いて、鼻先がつんとつめたくなった。
堤防の向こうで静かに波の音が聞こえる。
「へえ。」
なんとなく、レオもささみ味が好きなことを言えなくて曖昧な相槌をしてうつむく。
急にしんとした沈黙が流れて、感じ悪く思われたかなって丸山さんのほうをちらりと見たとき、
「お、猫や。」
丸山さんは振り向きながら歩く足を止めた。
「あれ、首輪しとる。こんな寒いのに家の外出るなんて物好きやなあ。」
そう言って腰をかがめた丸山さんの視線の先に、たしかに猫がいた。
自動販売機の影からこちらをじっと見ている。そんなに体の大きくない三毛猫。赤い首輪。どこかで見たことがある。
“女の子。7歳。三毛猫で赤い首輪を着けています。”
交差点の電信柱に貼られた迷い猫のポスター。思い出すのにそれほど時間はかからなかった。
「フキちゃん…？」
私が首をかしぐと、猫はちいさく、みぃ、と鳴いた。
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蒼 夢見子(プロフ) - まゆ☆まゆさん» まゆ☆まゆ様、お久しぶりです…！早速コメントくださりありがとうございます。かなり前のお話をまだ読み返していただけてうれしいです…(T . T)少しずつの更新にはなりますがお付き合いいただけると幸いです！ (2022年11月20日 18時) (
レス) id: a5f8e6e331 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ☆まゆ(プロフ) - お久しぶりです。数日前に満月の夜は〜を読み返したばかりです(^^)また蒼夢見子さんの新作読めるの嬉しいです♪続きも楽しみにしてます。 (2022年11月20日 6時) (レス) id: 9548b7921c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 夢見子
| 作成日時：2022年11月20日 0時
