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(youーside)


夕飯はお鍋だった。



母「何が好きか分かんなかったから取り敢えず鍋にしたんだけど、苦手なものある?」


「いえ、大丈夫です」


西「詩は好き嫌いないんだよ」


母「偉いわねぇ。あんたも見習いなさい」



胡瓜が苦手な隆弘はその一言に縮こまって。




私も苦笑しつつ、お椀に取り分けていく。



「お父様、どうぞ」


父「ああ」


姉「ありがとう!でしょ?」


父「…ありがとう」



渋々、といった様子でお礼を告げるお父様はきっと、私の事を心から受け入れてくれてはいないんだろうけど。





そんなお父様に軽口を叩きながらも楽しそうなお姉さん。



それにお母さんも混じって、隆弘も笑って見ていて。





ーーなんか、


ーー良いな。こういうの





お母さんにお酒を注がれて、少しだけ口元を緩ませているお父様を見て、ふとそう思う。





大らかで明るいお母さんと、少し気が強くてしっかり者のお姉さん。真面目なお父様と。




ーーここで、隆弘は育ったんだ





きっと、何処にでもあるんだろう普通の家庭。



暖かくて、ありふれてるそれは。私の知らない光景。



何となく、口を開く事ができなくて。





ーー少しだけ…


ーー……羨ましい、なんて





ジクリ、と鈍い胸の痛みを感じて僅かに箸の動きを止めると。





西「詩、豆腐とってないんじゃない?ほら」



そっと手が伸びてきて、私のお椀を攫っていく。



「え、」


西「ほらほら。ちゃんと食べろよ」


姉「あんたそれ、盛りすぎじゃない?」



溢れそうなほどに盛られた具材達に。



「詩はすぐ痩せるから、これくらいは食べさせないとダメなの」と、何故かドヤ顔で返す隆弘。



姉「やっぱ芸能人ってあんまり食べないの?」


母「詩ちゃん、身体は資本なんだから沢山食べてね」



いつの間にか、話題の中に私を入れてくれていて。





チラリと隣を見れば、優しい笑顔を浮かべた隆弘が何食わぬ様子で食べていて。





ーーありがとう



きっと、何もかもお見通しの彼に。


心の中でお礼を呟いた。

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(プロフ) - 海音さん» ありがとうございます!次章もマイペースに更新していきたいと思っておりますので、またよろしくお願い致します! (2020年2月20日 20時) (レス) id: 37dc25736a (このIDを非表示/違反報告)
海音(プロフ) - 楽しく読ませて頂いてます!すごく面白いです!!次の章も楽しみです!これからも頑張ってください!! (2020年2月19日 23時) (レス) id: 8f38073b2c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ゆうさん» かなり長かったと思うのですが、ありがとうございます!マイペースな展開と更新になりますが、これからも頑張って参りますので、お付き合い頂ければ嬉しいです! (2019年12月14日 18時) (レス) id: 37dc25736a (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 最初から一気に読んじゃいました!笑 とっても面白かったです! これからも頑張ってください! (2019年12月14日 16時) (レス) id: 3d09ff0bd0 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - EYさん» ありがとうございます!ゆっくりで良いとお気遣いまでして頂き、本当に嬉しいです。マイペースに頑張って参りますので、これからもよろしくお願い致します! (2019年11月18日 20時) (レス) id: 00727ba42b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年11月9日 18時

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