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(unoーside)
「Through many dangers, toils and snares
I have already come.」
いつもの詩じゃない。
発声の仕方、息継ぎの仕方、歌声の響かせ方。
「Yes,when this heart and flesh shall fail,
And mortal life shall cease,」
私達の知る、綾瀬詩じゃない。
「I shall possess within the vail,
A life of joy and peace.」
隣にいる秀太が息を飲んだ気配が伝わってきて。
声楽界の天才少女。
十数年の時を経ても、それを思い出させる。
「The earth shall soon dissolve like snow,
The sun forbear to shine;」
それはきっと。
形を変えても詩が音楽と向き合い続けてきたから。
「But God, Who called me here below,
Will be forever mine.」
私達の知らない、1人で歌い続けてきた詩も。
ストリートでギターを持っていた詩も。
AAAメンバーとして共に走り続けてきた詩も。
「When we've been there ten thousand years,
Bright shining as the sun, 」
すべて繋がってる。
詩の歌声は、いつだって真っ直ぐだ。
「We've no less days to sing God's praise
Than when we'd first begun.」
歌唱が終われば、拍手が自然と巻き起こって。
現役程の力はないのかもしれない。
だけど、確かに人を感動させる歌声だった。
歌い終われば捌ける…というわけじゃなくて、公演の代表者と詩でトークタイムが設けられていた。
代表の方は、沢本さんという老年の男性。
さっき、美織さんと一緒にいたから、血縁者なのかもしれない。
沢「素晴らしい歌をありがとう」
「いえ、こちらこそ本日はこのような素敵な場をありがとうございます」
ーー何だろう、
沢「私は君が小さな頃から知ってるが…相変わらず天才的な歌声だったね」
「そんな……沢本さんにそう言って頂けるなんて、とても光栄です」
沢「謙遜することはない。何せ、かつての声楽界で行われていた公演、大会では賞を独占するほどだったのだから」
ーー何か、変だ…
詩を褒めるその言葉には。
浮かべられている沢本さんの笑顔には。
ーー何処か、刺々しさがあるような、
沢「いやあ、ね。かつてあんな事件を起こしていても、実力さえあれば再びこのような場で歌える。君が身をもって証明してくれたね」
そう言われた瞬間、会場が凍りついた。
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海(プロフ) - 海音さん» ありがとうございます!次章もマイペースに更新していきたいと思っておりますので、またよろしくお願い致します! (2020年2月20日 20時) (レス) id: 37dc25736a (このIDを非表示/違反報告)
海音(プロフ) - 楽しく読ませて頂いてます!すごく面白いです!!次の章も楽しみです!これからも頑張ってください!! (2020年2月19日 23時) (レス) id: 8f38073b2c (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - ゆうさん» かなり長かったと思うのですが、ありがとうございます!マイペースな展開と更新になりますが、これからも頑張って参りますので、お付き合い頂ければ嬉しいです! (2019年12月14日 18時) (レス) id: 37dc25736a (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 最初から一気に読んじゃいました!笑 とっても面白かったです! これからも頑張ってください! (2019年12月14日 16時) (レス) id: 3d09ff0bd0 (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - EYさん» ありがとうございます!ゆっくりで良いとお気遣いまでして頂き、本当に嬉しいです。マイペースに頑張って参りますので、これからもよろしくお願い致します! (2019年11月18日 20時) (レス) id: 00727ba42b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海 | 作成日時:2019年11月9日 18時