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(uno-side)
「お願い……出させて…歌わせて……！」
ほんの少しだけ開いた扉から詩の声が聞こえてきて、思わず目を伏せる。
浦「……」
ふと隣を見ると、直也くんも眉をひそめていて。
中に入る事ができず、私達は待ち合い室で椅子に並んで座った。
宇「……直也くん、」
浦「出すべきじゃない。俺はそう思うよ」
その通りだとは、私も思う。
勿論、詩がいない方が良いなんて思ってない。
ただ、無理をしてほしくないだけ。
……だけど。
浦「今の詩から歌うことを取り上げたら、壊れそうだな」
宇「うん…」
小さい頃から、ずっと歌しかなかった女の子。
そんな彼女から歌う事を取り上げるなんて、したくない。
莉「浦田さん、宇野さん。綾瀬さん今晩は病院に泊まります。明日は出演しない方向で進めたいんですが……本人が同意してくれなくて、」
浦「詩は？」
莉「今は病室に。先ほどまで興奮状態でとても休める状況ではないので、睡眠薬を処方してもらいました」
宇「もう寝てますか？」
莉「どうでしょう……見ていきますか？」
莉子ちゃんに頷いて、私達は病室へ向かう。
宇「詩？」
囁くように声をかけると。
「み、さこ……？」
少し目が虚ろげな詩が私達の方を見た。
宇「今日はここで休むんだってね」
「うん…」
宇「しんどいね……」
「……」
頬を撫でると、感じる体温は熱い。
浦「詩……明日だけど、」
「出る、から」
浦「解熱剤飲んで？……でも、無理をしたら良いってもんじゃないよ？ライブは三日続くし、体力も使う」
「大丈夫、」
頑なとして譲らない詩。
とろんとした、だけど力強いその眼差しを目の前にして。
宇「…分かった」
浦「宇野ちゃん！？」
つい、そう言ってしまう。
宇「でも約束して。辛いことを私達だけには隠さないで」
「実彩子、」
宇「ファンの前では強がりも演技も必要だと思う」
ライブを。
私達が揃うことを楽しみにしてくれる人達を、裏切ることはできない。
宇「でも、メンバーには隠さないで」
もう、一人で苦しむ姿を見たくないから。
宇「いつだって助けるし、支え合う。だから、安心して歌えば良い」
浦「……詩、約束できるの？」
諦めたように直也くんは嘆息して。
「うん……うん…！」
安心したような笑みを浮かべた詩はそのまま眠りについた。
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海(プロフ) - きこさん» ありがとうございます！9thもマイペースではありますが頑張って更新していきたいと思いますので、またよろしくお願い致しますm(__)m (2019年11月1日 19時) (
レス) id: 00727ba42b (このIDを非表示/違反報告)
きこ - ほんとにこの話大好きです！いつも楽しく読ましていただいてます。9thも楽しみに待っているので頑張ってください！！ (2019年11月1日 0時) (レス) id: b62633c036 (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - 迷える小熊さん» ありがとうございます！綾瀬に感情移入して下さってるという事で、とても光栄に思います。２歩進んでは１歩戻って、また進んで…という子なのですが、持ち前の努力する力はぶれずに描いていきたいと思いますので、これからもよろしくお願い致します！ (2019年10月30日 21時) (レス) id: 00727ba42b (このIDを非表示/違反報告)
迷える小熊 - いつもドキドキしながら読ませていただいています。何回も読み返していてその旅に大号泣。詩のように努力家になりたいって感情移入しちゃうほどです。これからも更新楽しみにしています。頑張ってください！応援してます！！ (2019年10月30日 4時) (レス) id: c3a588e705 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海 | 作成日時：2019年7月10日 22時
