【仮面ライダー電王】過去は希望、希望は未来 【2nd】

｢ダイヤを乱す牙｣ 2話 ページ13

｢Aちゃん、そろそろ晩御飯の準備するから手伝ってちょうだい｣


｢わかった｣


まな板と包丁の準備をしていると、冷蔵庫を漁っていた愛理さんがあら、と声を上げた


｢やっぱり、食材が足りないわ。ちょっと買ってくるわね｣


｢え、一人で大丈夫？｣


｢そうねえ…あ、ハナさん。ちょっと手伝ってもらえる？｣


｢はい！｣


暇そうにしていたハナさんを連れて、愛理さんは買い出しに行った


私はあった食材を今のうちに切っておこうと人参と包丁を手に持った


いざ、と意気込んでいると、後ろに気配を感じた
バッと振り返ると、赤い服の狼がビックリしていた


｢おい！包丁持ったまんま振り向くんじゃねえ！あぶねえだろ！｣


｢あ、ごめんなさい｣


パシンと頭を叩かれてちょっと反省する
着ぐるみじゃなくて侑斗さんや三浦さんだったら確かに危なかったかも。


ふと隣を見ると、狼がいつの間にか包丁を握って人参をまな板にセットしていた


｢え、何してるの｣


｢見てわかんねぇのかよ。手伝ってやる｣


そう言うと慣れた手つきで人参を切り始めた
トントンとリズムを刻んでいるとあっという間に切り終えてしまった


｢え！すっごい！｣


｢ほらよ、他のも持ってこい｣


そう言われて他の食材を渡すとまた慣れた手つきで刻み出す
ぽけーっと見ていたが、負けられない気がして私も隣で切り始めた


｢狼さんも手先器用なんだね。感心しちゃった｣


｢別に…っておい、ちゃんと手元見ねえと危ねぇぞ｣


｢大丈夫大丈…っいだぁあ！？｣


｢ハァ！？言ったそばから切ってんじゃねえ！｣


やってしまった。
よそ見していたら思いの外ざっくりいってしまった。


水で血を流していると狼に手を取られてタオルで優しく拭かれて、いつの間に取ってきたのか電車の柄が書かれた絆創膏を患部に貼った


｢ったく…後は俺がやっとくから向こうに行ってろ｣


｢面目ないです…｣


余計な手間かけさせてしまった、としょんぼりしていると、狼が吃るように唸った


｢そのよ…せっかく綺麗な手ェしてんから傷つけるんじゃねーぞ｣


面倒くさそうに言っているがなんとなく優しさが見え隠れして、嬉し恥ずかしかった


でも、さっきの言葉が気になったので素直に聞いてみる


｢手フェチ？｣


｢ハァ！？ちげえよ！｣


｢じゃあ足？｣


｢なんでその話になるんだよ！｣


そのやり取りについ笑ってしまう
見た目は怖いけど、意外と優しい狼さんだった

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