命を食らう女郎蜘蛛 ページ3
結論から言うと、私たちはゲンブ法典斧を手に入れることが出来た。
まさかあの茶を点てていた人が朱雀の技をも断ち切ってしまうほどの強さを持っていたとは思わなかった。
そこでトウマが「女郎蜘蛛の糸を断ち切ってみないか」と提案したのだ。
万物を切るゲンブ法典斧に切れるものは無い、と上手く乗ってくれた玄武の力を手に入れ、私たちは再び元町タワーへ戻ってきた。
「ここ、ほんとにタワー…?」
そこで見た景色は悲惨なものだった。
タワーから無数の蜘蛛の糸が広がり、道には蜘蛛の糸に雁字搦めにされた一般人が転がっていた。
私たち以外に歩く人はおらず、まるで時間が止まったような静けさだった。
その時、頭上からあの声が聞こえた。
「おやあ?お前たち私に魂を差し出しにでも来たのかい?」
「女郎蜘蛛…!」
上を見上げるとタワーの頂上に降臨する前よりも遥かに大きくなった女郎蜘蛛の姿があった。
「あんなに大きくなってるなんて…!」
「トウマ!ゲンブ法典斧だ!」
「うん!」
女郎蜘蛛がなにかしてくる前に玄武を憑依召喚させた。
タワーを包む蜘蛛の糸を見て玄武はニヤリと笑った。
「フハハ…!これはまた切りがいがあるものよ!久しぶりに腕がなるわ!」
「なんかテンション高くないか?」
宝剣殿で会った時よりもなんだかテンションが高い玄武に私もナツメも苦笑いした。
どうやら切る時はキャラが変わるらしい。
「ふっこの強靭さ…流石に我の力を求めるだけあるな!ならば!」
玄武がゲンブ法典斧を頭上に掲げると、ガチャリと音がしてまるで法典斧が排気するように白い煙が上がった。
すると竜巻が起こり、法典斧が水に変化し従来のものよりも遥かに大きな斧へと変化していった。
「食らうがいい!海をも断ち切るゲンブ法典斧の力を!法典断獄斬!」
ゲンブがタワーと同じ大きさになった法典斧を振り下ろすと、女郎蜘蛛の繭がぱっくりと割れてタワーからずり落ちていった。
「ふん、久しぶりに全力でぶった切れて満足じゃわい」
玄武が満足そうに言うと、その姿はトウマへと戻っていった。
タワーから蜘蛛の糸が消え、その本当の姿が見えてきて少し安堵した。
「す、すごい!」
「よくも…小癪な真似を…!」
女郎蜘蛛がギシギシと悔しそうに牙を鳴らして姿を消した。
恐らくタワーの中に逃げたのだろう。
それを追ってタワーの中に入ろうとした時、ナツメが私の肩を掴んで止めた。
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優(東方ガチ勢) - 凄く面白いです!ケースケの立ち位置に夢主を入れるのは考えたことがなかったです(笑)とても面白いしいい話なので、続きが出来たら更新して欲しいです! (2022年8月3日 15時) (レス) @page37 id: 14abcb2f13 (このIDを非表示/違反報告)
名無 - とても面白かったです。続きがあれば何時までも楽しみにしています。 (2021年3月23日 9時) (レス) id: cdf16b300a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フォンフォン | 作成日時:2020年10月12日 22時