〜HORIZON〜2nd

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(nishijima-side)


発表があってから、詩へと集まる誹謗中傷の嵐。



俺達に対しても「ガッカリです」「ゆかりんの気持ちを考えて」って沢山の言葉が寄せられるけど、本人がきっと一番辛い。



正式にメンバー入りしても詩は毎日練習漬けで、いつ休んでるのかわからないくらい。



妥協できない気持ちはわかるし、俺だって応援してくれるファンには最高のパフォーマンスを届けたいと思ってる。



でも詩の練習量は明らかに度を越えていて。








「なるほど、重なるとこうなるんだ……歌合わせてくれてありがとう。ちょっと調節するね」


西「あんまり無理すんなよ」


「大丈夫」



大丈夫、と言う詩の顔色はあまり良くない。



きっと、睡眠も食事も休息も足りてないんだろう。





西「詩、飯食いに行こう」


「もうちょっと練習していくから、にっしー先に行ってて」


西「そんな事言って昨日も来なかったの誰だよ」



そう言うと罰が悪そうに目をそらす詩。



「……ダイエット中だから」


西「はあ！？」



ただでさえ華奢なのにこれ以上痩せてどうすんだ！と怒鳴ろうとして、ハッと思い出す。



「実彩子と並ぶのに、身体絞らなきゃ」


──メインボーカルとか、何様？


──宇野ちゃんみたいにスラッとして歌がうまいわけでもない。ちゃきみたいな愛嬌と可愛らしさがあるわけでもない。


──ゆかりんみたいなセクシーさもなければ、アクロバットもできないんでしょ


──あんたに何ができるの？



「できることは全部やりたいから」



全部、SNS上に並んでいた言葉だ。



平気な顔してるけど、詩は全部受け止めてる。



顔もわからない人の言葉は全て詩に届いてる。





ファンだって悪気があるわけではないのかもしれない。



ただ、今までのAAAを愛してくれていただけで。


今までのAAAを求めてくれているだけで。



だから無理に詩の短所を探して、責めて。



そうすることで俺達に訴えかけてる。



友香里がいた頃の、８人のAAAを忘れないでと。



それを知ってるから、詩は少しでも答えようとしてるんだろう。



そう思うともう無理に止めることなんてできなくて。



西「…ちょっとくらいは何か口に入れとけ。水分補給も忘れんな」



今は詩の気持ちも尊重してやりたい。




そうやって、やるべきだと思ってる事を後回しにして。



強引にでも止めなかったことを、俺は後に後悔することになる。

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