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(you-side)
季節は流れ、12月31日。
この日は朝から陽斗の体調が優れなかった。
「……」
「…詩……テレビ……つけて…」
半分目を閉じながら言う陽斗に従い、電源を入れると、丁度レコード大賞が始まったところで。
「あ、」
「……AAA、」
皆が映っていることが、嬉しくて頬を緩める。
「陽斗、調子はどう?」
「おば様」
「……か、…さん」
少し目の赤いおば様と、後に続いて桜子先生が入ってくる。
「あらレコード大賞、もう今年も終わりね」
「AAAって……詩ちゃんがいたところね。皆、キラキラしてるわねぇ」
今思い出したと言わんばかりの言葉を落とす桜子先生。
懐かしむように目を細めるおば様。
「……み、んな…で……一緒に……見よう」
陽斗が言えば、二人も笑顔で椅子に腰かけた。
次々と紹介されていく曲を見て、皆で感想を言い合って。
遂にAAAの出番がやって来た。
曲は勿論、デビュー曲の‘BLOOD ON FIRE’。
西「熱くたぎる鼓動を止める術など見当たらなかったよ」
浦宇「勝ち目なんてわからない」
浦「九分九厘ダメだって負ける気はしないのさ」
先導するように圧巻の歌声を披露するにっしーとリーダー。
日「このsoulを」
日末與「shake!」
日「show me ya」
日末與「way!」
日「Don't break go away」
だっちゃんの高速なラップと、それに勢いをつける秀太と真司郎。
宇伊「人は誰だって孤独な闇を」
宇「ひた走るミッドナイトランナー」
新しく入った伊藤千晃ちゃんと実彩子の綺麗なハーモニー。
一人で女子のメインボーカルという立場に立つ実彩子。
2番に入れば、友香里もパワフルなコーラスで魅せてくれて。
全「You got a feeling way out!」
最後まで歌もダンスも力強い、圧巻のパフォーマンスを見せてくれた。
「……す、げぇな」
ポツリと陽斗が呟く。
「うん…」
本当に。
本当に凄いと思う。
ここまで歌を、ダンスを揃えるのに。
ここまで見る人を熱くさせるまでに。
一体、どれだけ努力したの?
きっとこれから、もっともっとAAAは大きなグループになる。
そんな気がする。
そして。
その内皆、私の事なんてすっかり忘れるんだろう。
……いや、もうとっくに忘れてるかもしれない。
それでも私は一ファンとして、AAAを見守り続けたい。
それが単なる我儘だとわかってはいるけど。
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miyu - はじめまして!このお話号泣してしまいました(笑)大切な人と自分の夢…どちらを選ぶかって辛い決断ですよね。最後のほう号泣でティッシュひと箱なくなりました(笑)これから続編を見たいと思います! (2020年9月24日 20時) (レス) id: 522229740f (このIDを非表示/違反報告)
夏目海(プロフ) - はづこ。さん» ありがとうございます!できれば今週中には続編を作りたいと思っておりますので、今暫くお待ちいただければ幸いですm(__)m (2018年2月14日 23時) (レス) id: fc74eeea72 (このIDを非表示/違反報告)
はづこ。(プロフ) - とても楽しみにしてます!頑張ってください!(*⌒▽⌒*) (2018年2月14日 15時) (レス) id: 8b66f080ab (このIDを非表示/違反報告)
夏目海(プロフ) - あかりんごさん» ありがとうございます!ヒロインとAAAの物語はまだまだ長くなる予定なのでお付き合い頂けると幸いです!今夜もこの後更新予定ですので、暫しお待ちくださいm(__)m (2018年2月5日 17時) (レス) id: fc74eeea72 (このIDを非表示/違反報告)
あかりんご(プロフ) - 毎回更新を楽しみにしてます!続きが気になる終わり方…!!!!!これからひろいんとAAAがどうなっていくのか楽しみです!応援しています! (2018年2月4日 21時) (レス) id: b2fbf946ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海 | 作成日時:2018年1月5日 13時