蛇足 ジャンside ページ12
あの野郎の背中を見ながら苛立っていたら視界にに美しい黒髪の綺麗な人達が映った。
髪の短い方は無表情だが、髪の長い方は柔らかな表情は印象的だった。
頰が紅くなるのが自分でも分かった。
気付けば「な…なぁアンタ達…!」と、つい呼び止めてしまっていた。
話す話題もなく止めてしまったので、しどろもどろになる。彼女達からは無反応。
と、取り敢えず褒めようと思って心から思った事を口にした。
凛とした声で「どうも」と片方から。
もう片方からは少し微笑んで会釈された。
心臓の鼓動がうるさい。
そのまま立ち去ってしまう彼女達の名前を聞こうと追いかけた。
─────俺は見てしまった。
あの野郎と彼女達が一緒にいる所を。
耳を研ぎ澄ませて会話を聞く。
「いや?喧嘩腰になんかなってねえよ」
「無自覚だなぁ」
「少し目を離すとすぐこうなる…」
「またそれか…そんなことよりお前ら…髪長すぎはしねぇか?」
そう言ってあの野郎は二人の髪の毛を触りやがった。クソ野郎…
「Aなんて最初会った時からずっと腰くらいの長さじゃねえか、ミカサも伸びたし…立体起動の訓練で事故になるかもしれんぞ」
「うんわかった切ろう。でも…どの辺りまで切るべきだと思う?」
あいつの言われたとおりに髪の短い方が行動しようとしているのを見て俺は絶望した。
「どの辺りって…首より上くらいでいーんじゃねえの?」
「私は…うーん、しばらくはこの長さでいいかな」
よく言った、髪が長い方の美人!!!
「でも巻き込まれたらどーすんだ?」
は?!なんでもう一回触ったんだよ?!
なんであの野郎はあの美女二人と喋れるんだよ…最悪だ、ほんと最悪すぎる。
近くにいたコニーっていう名前の坊主の服を使ってさっきあいつと合わせた方の掌を拭った。
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作者名:うみ | 作成日時:2018年8月14日 23時