段ボール拾四 ページ15
……眠れない。
『こっち向け』
優しく掛けられたその言葉のせいで頭が、と触れられた耳がむず痒くて目を閉じても眠気が私を襲うことは無かった。
｢ぎ〜〜〜〜〜〜〜！！！(小声)散れ、散れ！！！｣
頭の中でループされる言葉達に手で振り払いながら布団の中に潜り込んだ。暗闇の静かな場所で考えないようにしようとすればするほどあの声や表情が浮かんで来るのが心臓へクリティカルヒットしてくる。
｢もうダメだ…ホットミルクでも飲もう…｣
諦めた私は部屋から出てペタペタとキッチンへ出向くのだった。
＊
｢はぁ美味しい…落ち着く…｣
ベランダのベンチに腰掛けてインスタントで仕上げたカフェオレをゆっくり啜ると暖かい糖液が安っぽいのに酷く甘く感じた。
冷たい夜風がそよそよと身体に触れて気持ちがいい。一人ベランダを眺めていたその時、
｢へぇ、カフェオレか。オレ様も飲みてえな〜｣
｢ぎぃぉ゛っ゛！？｣
こめかみ辺りに急に息がかかり、気が動転して手に持っていたカップを落としかけたが大きな手がカップを掴んだ。
｢ナイスキャッチ…眠れねえのか？｣
私を悩ませる張本人、キバナさんが隣に座った。もうこれだけでベッドに帰りたい気分だ。むず痒い感情が私の中で更に膨張する。
｢まあそんなとこです、キバナさんだってどうしたんですか｣
｢オレも眠れねえんだよな〜頭が冴えてる感じ｣
長い足を放り出して八重歯を見せながら笑う姿にまた
不整脈が始まった。もうやめてくれ…。
｢今日はその…本当にすまねえ。ついつい浮かれちまって、Aと買い物行くの楽しみだったからよ｣
楽しみだったとは？？？…いや、多分この言葉に深い理由なんて無いんだろう。あ〜こういう所で女性も男性も落とされるんだろうなこのド天然タラシドラゴンストームめ！！！
｢あっ謝らなくて大丈夫ですよ。ああやってちゃんと外出するのほぼ初めてだったし…｣
楽しかったです、と最後にポツリと呟く。外の世界で色んなお店を見るのは新鮮で楽しかったのは事実だ。
｢……あー…そっか、それなら良かったぜ。｣
それから何故か1分ぐらい会話が無く、気まずい空気に我慢できなくなったのでそろそろ戻ろうかとした時だった。
｢Aさ｣
｢なんですか？｣
立ち上がろうとしたら腕を引っ掴まれてまた座らされた。
｢…ん、…いや何でもねえわやっぱり。おやすみ｣
何か言いかけたキバナさんは私の頭を撫でて先に部屋に帰って行った。
……変な人。
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鶴丸 - 早く更新してくださぁぁぁい!!!早く続きが見たいです！ (2021年10月31日 6時) (
レス) @page19 id: c05427c036 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 夢主ちゃん…ポケモン持ってないと一人は危ないぞ…(そこなんだ…) (2020年6月28日 13時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うみ | 作成日時：2020年4月4日 2時
