段ボール壱 ページ2
その日、キバナはオフだった。
連日のダイマックスポケモン大暴走事件の後処理を全て終わらせた後、『お願いだから休んでください…(泣)』とリョウタ達から泣きつかれ帰ってきて鏡を見た時は笑った。
ボッサボサの頭に爽やかイケメンのさの字もない指名手配犯の様な顔。本当にオレ様か？目が死んでいる。
それからの事は思い出せない。
ベッドに寝転んで泥の様に眠ったからか頭が痛む。
頭を抑えながらシャワーを浴びるとぐぅ〜〜〜と腹が鳴った。
｢そういえば2日ろくに何も食ってねえ……。｣
後処理に追われている時は今回の事について記者会見をダンデと開き破壊されたナックルシティ、スタジアムの改修工事についての打ち合わせ、身を呈して暴走したポケモンから逃げ惑う人々を守ってくれた手持ち達の回復とケアなど何かを口にする機会が全く無かった。
一旦ポケモンセンターに預けた手持ち達を引き取るのは昼頃なのでまだ時間はある。
｢デリバリーでも頼むか。｣
1週間ぶりぐらいに戻ってきた家に食料はひとつも無く、キバナ自身作ろうとも思えなかった。
ロトムにデリバリー可能な行きつけの店の料理をいくつかピックアップしてもらい電子ウォレットでお会計。
待っている間に溜め込んだ洗濯物でも片付けるか、とソファから立とうとしたその時だった。
ピンポーン。
｢あ？早えなまだ1分も経ってねえし……。ロトム、デリバリーの追跡まだ店出てねえよな？｣
｢出てないロト！キバナ何か頼んだロト？｣
｢いや……特に何も頼んだ覚えはねえけどな……。｣
ピンポーン、ピンポーンと出るまで鳴り止むつもりはチャイムに怪訝さを感じながらも玄関を開ける。
｢ナックルシティキバナさんですね！お届け物です！｣
ニコニコと愛想の良い笑いを浮かべた宅配便の男は少し不気味だった。
｢あ、いや、頼んだ覚えが無いんだが……。｣
｢あ、そうですか？しかしこちらとしては受け取ってもらわないと帰れないので……｣
｢えっおい！！！！｣
お願いしますね！と半ば押し付ける形で走り去っていった宅配便の男から受けとったダンボールは大きめで少し重かった。何だ？タマゴにしては重い。それに大きすぎる。
まるで人間1人が入れるような……。
｢届出も不明か。｣
全く覚えの無い箱にロトムは｢開けてみるロト？｣と尋ねてきた。
｢まあ…何か分からねえけど開けてみるか。｣
それがこの段ボール事件になるきっかけだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 46人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鶴丸 - 早く更新してくださぁぁぁい!!!早く続きが見たいです！ (2021年10月31日 6時) (
レス) @page19 id: c05427c036 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 夢主ちゃん…ポケモン持ってないと一人は危ないぞ…(そこなんだ…) (2020年6月28日 13時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うみ | 作成日時：2020年4月4日 2時
