衷情より ページ37
矢花くんは大分体調が戻ってきたようで、LINEでも元気な様子が窺えた。中村くんからも『会ったけど元気そうだったよー』とメッセージが届いていて、安心した。
そんな矢花くんにこれから会う。彼から『時間があれば会いたいです』とLINEが来ていて、私も話したい事があると返信した。多分この間言ってたことだと思う。どんな内容かは分からないけど、もしチャンスがあるなら･･････今日告白したい。
待ち合わせ場所は私の最寄り駅。少し先に着いて鏡で自分の姿を確認する。メイクも髪の毛もバッチリ。好きな人の前ではどんな時も可愛くいたいけれど、今日はとびきり可愛い状態で居たい。前髪を整えていると、降り口からこちらに駆けてくる矢花くんが見えた。走り方が子犬。
｢ごめん、待った？｣
｢全然！元気そうで何より｣
｢お陰様で。この間は助かりました｣
深くお辞儀をする矢花くんは完全に回復したようだ。安心で、固くなっていた頬が緩む。若干顔が強ばっているように見えるのは病み上がりだからかな？
｢ここじゃなんだし、場所変えよっか｣
｢うん･･････｣
駅の近くに設置されているベンチに腰掛け一息着く。どうしよう、いつ喋り出そう。ていうかなんて声をかければいいだろう。矢花くんも話があるはずなのに一向に口を開かない。拳をギュッと握り締めて、覚悟を決めた。
｢｢あの･･････｣｣
声が投網のように重なった。「あ、」と小さく声が漏れて矢花くんの方を見る。目が合っているように見えて、合っていない。
｢先どうぞ｣
｢あ、いや、矢花くんが話あるって言ってたし！｣
｢俺からでいいの？｣
勢いよく頷くと、彼は意を決したようにうっすら微笑んだ。冷笑とも羞恥ともつかないその微笑みが、今の私には特別美しく見えた。
不安と緊張が入り混じる心の中。体が火照るぐらいに熱を持ち、全神経が矢花くんから紡がれる言葉へと向けられていた。
終わり
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しあわせならあくしゅしよ(プロフ) - ☆さん» （ ; ; ）ありがとうございます！お待たせしてしま申し訳ないです、書く気力がじわじわ戻りつつあるので最後まで楽しんでいただければと思います･･････‼️ (11月1日 19時) (
レス) id: 8632b5f5bd (このIDを非表示/違反報告)
☆(プロフ) - すごく好きなお話です！更新楽しみにしてます💖 (10月30日 2時) (レス) id: 576c521bf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うみ | 作成日時：2023年7月23日 21時
