欲と神聖 ページ24
月が高く登り、閑静な東京の町を柔らかく光らせている。綺麗だなあと思いながら1枚写真を撮った深夜。ライブ終わりの打ち上げもそこそこに駅までの道を歩いていた時。
｢何逃げようとしてるんだよぉっ！｣
｢ん？｣
どこかでおじさんが喚いている声が聞こえた。おおよそ酔っ払い同士肩がぶつかったとかしょうもない喧嘩だろう、よくある事だし巻きこまれなきゃいい。
そう思って角を曲がると、案の定おじさんが誰かの腕を掴んでいる。あそこ通らなきゃ俺お家帰れないんだけどな〜最悪だ。
｢やめてください、警察呼びますよ｣
｢え？｣
拒否する声はなんと女性だった。斜め奥の方を見ると、隠れていて見えなかったが確かに女性が腕を掴まれている。ハッキリとした拒絶の意志を示しているのに、おじさんはそれに激高し呼んでみればいいと叫んでいる。呼んで損するのは貴方なのに。
取り敢えず止めよう。女性が腕を振るって掴まれていた腕を離し、カバンを漁り始めた。警察を呼ぶつもりなのだろう。それを見たおじさんは血迷ったのか、手をグーにして腕を振り上げている。女性はそれに気付いていないようだ。
やばい、殴られる。
そう思った時には体が動き出していた。
「あ！ねえさん！！」
なんだよねえさんって。
咄嗟に口から出てきた声は2人の耳にも聞こえていたようで、おじさんも慌てて手を引っ込めた。完全に見えてたぞ、お前。女性の方は振り返って俺の方を見ている。
あ、え、可愛い･･････。
違う、そんな事思ってる場合じゃない。「どこ行ってたんですか？探しました！」なんて適当な嘘を並べればおじさんは虚をつかれた顔をして突っ立っている。
｢すみません、この人僕の義姉です｣
取り敢えず平静な顔をして嘘に嘘を重ねていく。堂々としていればおじさんにはバレない。女性の方は戸惑った顔をしているが後で謝ろう、今はここを離れるのが先だ。
｢行きますよ｣
女性の手を取ってそのまま駆け出す。さっきまで男に手を取られて嫌な思いをしていただろうに、同じ事をしているというのは少々罪悪感に苛まれる。
でもあのおじさんの元からこの人を少しでも早く引き離したくて。後ろから叫び声が聞こえたけれど、構わず追いかけて来られない場所まで彼女の手を握って走り続けた。
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しあわせならあくしゅしよ(プロフ) - ☆さん» （ ; ; ）ありがとうございます！お待たせしてしま申し訳ないです、書く気力がじわじわ戻りつつあるので最後まで楽しんでいただければと思います･･････‼️ (11月1日 19時) (
レス) id: 8632b5f5bd (このIDを非表示/違反報告)
☆(プロフ) - すごく好きなお話です！更新楽しみにしてます💖 (10月30日 2時) (レス) id: 576c521bf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うみ | 作成日時：2023年7月23日 21時
