出会い ページ2
「ふんふふ〜ん、ふふ〜ん」
時計の針が0時を指している、飲み会からの帰り道。
昼間の騒々しさはどこへやら、閑静な駅ビルに私のご機嫌な鼻歌声がこだましていて気持ちいい。
駅ビルを出ると風が私の頬を撫ぜた。飲み会終わりで火照った体温が少しづつ低くなっているのを感じる。夜中の独特の空気は夜しか感じられない特別感があって好きだ。
例えば、爛々と輝く月とか。
「なあ姉ちゃん、こんな夜更けに一人？」
綺麗な月を少し見つめていたら、前から来たおじさんに声をかけられた。酔っぱらっているらしい、顔が赤い。感傷にひたってたのに、ちょっとは空気読みなさいよと心の中で悪態ついた。
「あ、ハハ……」
「なんだちょっと、こっち来いよ、ほら」
「いや、終電逃しちゃうんで」
おじさんは手招きをしてどんどん近づいてくる。
ここからは歩いて帰るから終電は関係ないんだけど、早く逃れるための嘘だ。嫌がる私に痺れを切らしたのかおじさんの赤い顔は更に赤くなる。
「何逃げようとしてるんだよぉっ！」
速足で横を通り過ぎようとしたら、腕を掴まれた。
痛みと嫌悪感で頭がいっぱいになる。気持ち悪いし、どうしてキレられないといけないのかと逆ギレしたくなった。
「やめてください、警察呼びますよ」
「ああん！？呼んでみろや！」
警察で怯まないとは、やるなこのジジイ。
それはそうとずっと握られているのは不快なのでおじさんの手を掴み返して振ると、案外あっさり離す事が出来た。
数歩距離を取り、カバンの中の携帯に手を掛けたその時。
「あ！ねえさん！！」
「え？」
声が裏返ったのか、若干甲高い声に反射的に振り返る。
奥には息を切らした男の人が居た。乱れた前髪の間から覗く眼光が鋭く、でもちょっとかっこよく見えた。
「姉さん？」
「どこ行ってたんですか？探しました！」
聞き返すとやっぱり私のことを言っていたようで、小走りで私の方に男の人が駆け寄ってきた。しかし全く知らない人だ、勘違いでもしているのだろうか。
「すみません、この人僕の義姉です」
男の人はおじさんに声を掛けると、私の方を見て「行きますよ」と一言。そのまま私の手を取って駆け出した。
後ろからおじさんの叫びが聞こえたが、振り向く余裕も無かった。
ただひたすら、私の手を取って走る彼から目が離せずにいた。
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しあわせならあくしゅしよ(プロフ) - ☆さん» （ ; ; ）ありがとうございます！お待たせしてしま申し訳ないです、書く気力がじわじわ戻りつつあるので最後まで楽しんでいただければと思います･･････‼️ (11月1日 19時) (
レス) id: 8632b5f5bd (このIDを非表示/違反報告)
☆(プロフ) - すごく好きなお話です！更新楽しみにしてます💖 (10月30日 2時) (レス) id: 576c521bf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うみ | 作成日時：2023年7月23日 21時
