完璧なフリはもうやめて (ページ2)

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高校に入学して1週間。
私は相変わらずクラスに馴染めずにいた。

放課後には部活見学に行く話で盛り上がっている女の子たちを横目に、わたしはまだ慣れない校舎を散策した。

1人で落ち着いて過ごせる空間を見つけたくてたどり着いたのは、屋上だった。
不用心にもカギは空いていて、大丈夫かこの高校。なんて思ったが扉を開けて外に出た。

誰もいないその空間。

屋上の淵に立って下を見下ろした。

グラウンドでは汗を流しながら走っているサッカー部が見えた。

春の風と吹奏楽部の練習する音に、なぜか黄昏てしまった。

「もう、全部終わりにしたいな、、」

ふとそんな言葉が出た。

中学生の頃から母は海外を飛び回り、ほとんど家に帰ってきていない。

そして私の支えだったヒカルももういない。

私がここから一歩踏み出して消えても、もうだれも気付かないんじゃないか。
そう思ってしまった。

『何してんの』

春の風に乗ってバニラの香りが鼻をかすめる。

重心が前に行きかけていた私の腕を引かれ、後ろに尻もちをついた。

顔を上げるとそこには

「田中くん、、」