よろこびに咲く花

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事務所のチーフマネで先輩グループのマネージャー。というか、この人はマネージャーだけどプロデューサーだ。
その先輩グループ以外にマネジメントを担当している話は聞いたことがなかった。

そんな人が俺たちのマネジメントを担当する。それがどういう意味を持つのか、先日の顔合わせの時から考えているけど、未だによくわからない。



俺が座ったのを確認すると、マネージャーはふわり、笑って話し出した。


「入手可能な限り、あなたたちの過去映像を確認したわ。あと、インタビュー類も」


その人なんでもないことのように軽く言った。
ジュニアとはいえ、結成して結構年数の経っている俺らの過去映像はわりとあるはずだ。
それを全部見たっていうのか？

……この忙しくて有名なマネージャーが？


にわかに信じられなくて黙っていると、けっこうな量だったわよ？ と肩をすくめられ、また微笑まれた。



「改めて全員に説明する場は設けるけど、事務所としての方針が暫定だけど決まったわ。――玉森をセンターにおいて、あなたと北山の３人をフロントとしてプロモーション展開することになった」


「…は、」


たまがセンター？
３人がフロント？

……なんだよ、それ。



いきなり投げつけられた言葉に固まってしまった。

まっすぐに俺を見つめているマネージャーの視線から逃れるように目を伏せる。膝に置いていた手のひらが、いつの間にか じっとり汗ばんでいて、気持ちが悪い。




藤ヶ谷、と呼ばれ顔をあげた。




「その上でね、もうひとつ出ている話があるの」

マネージャーから笑顔が消える。



その顔を見て、なんとなくわかってしまった。

俺が呼ばれた理由。
あいつが、あとから呼ばれている理由。




「……北山のことよ」



心臓が居場所を主張するように跳ね上がった。

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