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いつもと変わらない ふたりのやり取りを眺めていたら、背中に たまの手がポンッと置かれた。
「完全にギクシャク終わったみたいだね」
そう言われて俺より高い たまを見上げると、覗き込むように顔を傾けて穏やかに笑う瞳と目が合う。瞬きひとつして、ニカたちに視線を戻した。
「…ん。だな」
「あとは心置きなくライブ初日に向かって詰めていくだけだねー」
たまが、ううーんと伸びをして気が抜けたように、ふわぁぁ、と欠伸をするのが聞こえる。
「たま」
「んー？」
「…ありがとな」
目線はニカたちの方にやったまま、たまに礼を伝える。
たまの動きが止まった気配がして、数秒後、戸惑ったような たまの声。
「…みつ、俺は嬉しいけどさ、お礼言い過ぎじゃない？」
再び たまを見上げる。
声と同じ、戸惑ったように八の字に下がっている眉。
その顔を見てたら、デビューしたばかりの頃の たまを思い出した。そういえば、あの頃はよくこんな顔をしてたよな。
デビューを機に戦略方針でフロントになった たま。それを印象づけるかのように急激に個人の仕事が増えていった。
多分誰より驚いたのは たま本人だったと思う。戸惑ったのも。
でもたまは黙々とこなしていった。
ふふ、と小さく笑うと、たまが不審げな顔で、みつ？と言う。
たまに向きあうと、自然に笑みがこぼれてしまう。
あの頃は心配だったけど、よく見かけた下がりきった眉は いつの間にか見なくなってたな。
「…たまのおかげで中途半端な気持ちに整理つけられた」
今考えれば、とっくに限界だったんだ。
ずっと長い間、認めることも出来ずにただ抱えていた気持ちは錆びつき始め、放っておいた錆びはじわじわと侵食の範囲を広げていって。
そのせいで藤ヶ谷に対する態度も おかしなものになっていたのかもしれない。
リハ室で声を荒げた藤ヶ谷。
どうしても あの光景が脳裏から消えない。
床に打ち付けられた藤ヶ谷の拳。
空気を震わせた音。
俺にはそれがなぜだか悲鳴のように聞こえたんだ。
「…みつ？」
たまの声にハッとする。
俯いて休憩所での事を思い出す。
あの瞬間、確実に俺は救われた。
今日の事…
ううん、今日だけじゃない。
藤ヶ谷に対する俺の半端な気持ちのせいでどれだけの心配をさせてしまったか。
どれだけ感謝を伝えても足りないと思う。
「本当にありがとう」
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Kmizusawa5110(プロフ) - お返事ありがとうございます。楽しく読ませて頂きます。 (2017年4月19日 18時) (
レス) id: 3f6429dfa1 (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - Kmizusawa5110さん» Kmizusawa5110さん、コメありがとうございます。私自身、明るい読後感が好きなのでそれぞれが納得出来るように持っていきたいと思っています。パスは外しましたので、お好きな時にお読みください(^ ^) (2017年4月19日 18時) (レス) id: f6011e37f2 (このIDを非表示/違反報告)
Kmizusawa5110(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。みっくんと玉森くんと藤ヶ谷くんが良い結果になればいいなと思います。パスワード、教えて下さい。続き楽しみにしてます。 (2017年4月19日 18時) (レス) id: 9aec22d661 (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - yuriさん» yuriさん、いつもコメありがとうございます。メンバーサイドがある程度まで来たので次はやっと…という感じです。もう少し続きますが、また覗きに来てください(^ ^) (2017年4月18日 21時) (レス) id: f6011e37f2 (このIDを非表示/違反報告)
yuri(プロフ) - umenoさん、続けて更新嬉しいです。みんなの優しい気持ちでみっくんが楽になれますように。 (2017年4月18日 20時) (レス) id: c775aeb07a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：umeno
| 作成日時：2016年9月25日 4時
