06 ページ7
ギャーギャー騒いでいた３人が一斉に俺の方を見たのを感じたけど、俺は少し前屈みになりながら、笑うことを止められずにいた。
「ご、ごめん、みんなのやり取り見てたら、おかしくって… クククク…」
笑い過ぎて涙が出てきた。
さっき流した涙とは全然別物のそれは、俺の心に温かい光を灯す気がする。
指先で目尻を拭うと俺は息を整えた。
３人とも何も言わずに、じっと見ている。
それぞれの顔を見れば自然と頬が緩んでいく。
「本当ごめんな？ ニカも千賀も心配してくれたんだよな。ふふ、ありがとな」
「ううん！ 具合良くなったんなら良かった、オレ心配で…、飛びついちゃってごめんね」
千賀が俺の腕にそっと触れる。
俺が首を振れば、安堵の表情を浮かべた。
少し照れくさそうに笑う千賀の後ろに視線を移せば、ニカと目が合った。
いつもなら一番に反応するのに、少しだけ眉間にシワを寄せて黙っている。
「ニカ？」
声を掛けるとニカの目が泳いで視線を逸らされる。
躊躇うような間があり、ニカが掠れた声を発した。
「…オレ、負担かけてた？」
「え？」
「…みつがフォローしてくれてるの、わかってたんだ。だから、それにヘコむんじゃなくてってやってたけど、上手くいかなくて…」
「でもそれで みつに謝るのも違うと思ったから、だから、オレ…っ」
ニカは伏せていた視線を上げるが、俺と目が合うと、また俯いた。
「…でも、みつには負担だったのかもって…」
語尾になるほど、小さくなっていく声。
身体中をこわばらせ肩を震わせてるニカに、あぁそうだよな、と思う。
俺は年上の立場しか知らなくて、ニカは真逆だ。
年上故の辛さは知ってるけど、年下の辛さは分かりようがない。
当たり前の事なのに、ニカが弱音を吐かなかったから大丈夫なんだと思い込んでた。
「ニカ。顔上げて」
俺はニカの前に行くと、ニカの頬を両手で挟み込み、俯いていた顔を正面に向けた。
ニカは何かを我慢するように唇をへの字に曲げている。
「バーカ、俺、めちゃくちゃ楽しんでるよ？ お前とライブの打合せしてて、何度帰るのめんどくさくなって お互いの家泊まったと思ってんだよ」
「負担だなんて思ったことないよ」
ニカを覗き込むようにすると、ニカの瞳が揺れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 793人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Kmizusawa5110(プロフ) - お返事ありがとうございます。楽しく読ませて頂きます。 (2017年4月19日 18時) (
レス) id: 3f6429dfa1 (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - Kmizusawa5110さん» Kmizusawa5110さん、コメありがとうございます。私自身、明るい読後感が好きなのでそれぞれが納得出来るように持っていきたいと思っています。パスは外しましたので、お好きな時にお読みください(^ ^) (2017年4月19日 18時) (レス) id: f6011e37f2 (このIDを非表示/違反報告)
Kmizusawa5110(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。みっくんと玉森くんと藤ヶ谷くんが良い結果になればいいなと思います。パスワード、教えて下さい。続き楽しみにしてます。 (2017年4月19日 18時) (レス) id: 9aec22d661 (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - yuriさん» yuriさん、いつもコメありがとうございます。メンバーサイドがある程度まで来たので次はやっと…という感じです。もう少し続きますが、また覗きに来てください(^ ^) (2017年4月18日 21時) (レス) id: f6011e37f2 (このIDを非表示/違反報告)
yuri(プロフ) - umenoさん、続けて更新嬉しいです。みんなの優しい気持ちでみっくんが楽になれますように。 (2017年4月18日 20時) (レス) id: c775aeb07a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：umeno
| 作成日時：2016年9月25日 4時
