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「まだやってんの?」
みつん家は寝室から出ると、目の前に広めのリビングが広がっている間取りだ。
そのほぼ真ん中で、風呂を上がってからずっとストレッチをしてる千賀。
ホワホワの頭が忙しなく動いている。
そんな千賀を横目で見つつ、リビングを通り抜けた。
昨日もだけど、さすがにやり過ぎじゃないかと思う。
かれこれ1時間近くしてるもん。
熱心なんだろうけど、その分寝たほうが肌にもいい気がすんだよなー。
…まぁそんなこと言わないけど。
「なんか股関節が硬いんだよねぇ…」
「今日結局踊んなかったもんな」
「そのせいかなぁ? …あれ、宏光は?」
冷蔵庫から勝手にチューハイを取り出して、リビングのソファに座ってプルタブを開けたとこで、オレひとりだということに、やっと気づいたらしい。
「寝かしつけてきた」
「…あぁっ! オレ、ポンポンしてないじゃん!!」
「ストレッチに夢中だったの、千賀じゃん」
「うぅ〜」
にべもなく言うと文句言いたくても言えなくなったのか、口をとんがらせて低くうなり始めた。
ちょっとかわいそうだったかな、と思って機嫌がよくなるような提案を代わりにしてみる。
「…オレ布団で寝るから、千賀ベッドで寝れば?」
「いーの?」
「いーよ」
「…宏光ビックリしないかな? 朝起きたらオレが隣で寝てて」
「うん? 驚くだろうけど、別にいいんじゃん?」
なんで千賀がそんなことを気にするのか よくわかんなくて、なんで? って訊くと、千賀は困ったように眉を下げた。
「…なんか、宏光のこと、…驚かすとか、あんまり刺激したくないっていうか…」
「……少しでも、気持ちが穏やかでいて欲しいっていうか…」
言葉を選んでるように たどたどしく話す千賀が、今日のリハ室でのことを言ってるんだとわかった。
ストレッチを止めた千賀はあぐらをかいた足の上に手を置いて握り締めている。
その手が少し震えているのが見えて、リハ室でのことを思い出す。
手に持っていたチューハイを一口ゴクリと飲んだ。
シュワシュワと喉を通る炭酸がキツくて、ケホッと軽くむせてしまう。
グイっと手の甲で口を拭うと、寝室のドアに目を向ける。
最初は抵抗されたものの、すぐに大人しくなり眠りに落ちたみつ。
その目はもう腫れてはいなかったけど。
「…そうだな」
今日の休憩中、リハ室での一件。
メンバーはきっとオレたちが聞いていたことを知らない。
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Kmizusawa5110(プロフ) - お返事ありがとうございます。楽しく読ませて頂きます。 (2017年4月19日 18時) (レス) id: 3f6429dfa1 (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - Kmizusawa5110さん» Kmizusawa5110さん、コメありがとうございます。私自身、明るい読後感が好きなのでそれぞれが納得出来るように持っていきたいと思っています。パスは外しましたので、お好きな時にお読みください(^ ^) (2017年4月19日 18時) (レス) id: f6011e37f2 (このIDを非表示/違反報告)
Kmizusawa5110(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。みっくんと玉森くんと藤ヶ谷くんが良い結果になればいいなと思います。パスワード、教えて下さい。続き楽しみにしてます。 (2017年4月19日 18時) (レス) id: 9aec22d661 (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - yuriさん» yuriさん、いつもコメありがとうございます。メンバーサイドがある程度まで来たので次はやっと…という感じです。もう少し続きますが、また覗きに来てください(^ ^) (2017年4月18日 21時) (レス) id: f6011e37f2 (このIDを非表示/違反報告)
yuri(プロフ) - umenoさん、続けて更新嬉しいです。みんなの優しい気持ちでみっくんが楽になれますように。 (2017年4月18日 20時) (レス) id: c775aeb07a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:umeno | 作成日時:2016年9月25日 4時