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風呂から上がって髪を乾かし終え、使ったバスタオルを洗濯機に放り込んだ。
蓋を閉め、スタートボタンを押そうと力を入れかけた指先を止める。



どうせシーツ洗うし、洗濯機回すのは明日でいいや。


そう思って視線を上げると、リネン棚に置いたストールが目に入る。
昼間、たまに借りてそのまま持ってきてしまったものだ。
返そうと思った時には たまはいなかったから。

後で別に洗おうと思ってた たまのストールを手に取り、そっとなでた。
一瞬であの時の休憩所に感覚が引き戻される。




…はじめて、自分の気持ちを言葉にした。

長く抑えこんでいた、重く苦しい気持ち。
思い返すと藤ヶ谷のことを好きだと自覚した時から、この気持ちは『恋』というには そのイメージからかけ離れていた気がする。


思い浮かべて胸がいっぱいになることも、
その姿を見るだけで胸が高鳴ることも、
言葉を交わして頬が上気することも、
触れ合えて幸福を感じることも、
想い 喜びに打ち震えることも、想い 願うことも、

そういった ふわふわとあたたかい、そんなものは何もなくて……
あるのは引け目とか卑屈さとか、苦しくてむなしい重いだけのものだった。



たまはずっと背中をさすってくれた。
その温かさに、優しさに、俺は許された気がしたんだ。

ずっと、罪悪感が一番強かったから。
ずっとずっと、ごめん、て思っていた。
好きになってごめんなさい… って。


だから たまに味方になると言われた時、多分はじめて… はじめて藤ヶ谷を好きになったことを、好きになった自分を認めることができた気がした。

好きになってもよかったんだと、好きになったことを嬉しいと思えたんだ。



だけど同時に思ってしまった。
他の人に支えられなきゃ認められない、この気持ちってなんなんだろうって。

自分さえ受け入れられないものが、他の人に、…相手に受け入れてもらえるわけがない。


俺が藤ヶ谷を好きだから、俺は自分の気持ちや態度をコントロールできなくて。
藤ヶ谷を不快にさせ、たまに頼ってしまう。
ふたりだけじゃない。
横尾さんに宮田に気遣われ、ニカに千賀に心配されている。
みんなに負担をかけてしまっている。


この気持ちはやっぱり捨てるべき気持ちなんだ、けじめをつけて前を向かなきゃ。




そう思ってたまに伝えたけど…



――― 藤ヶ谷のこと好きでいるの、やめる。


俺がそう伝えた時の たまの顔。
苦しそうな、悲しそうな顔。




…たまの顔が頭から離れない。

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設定タグ:藤北 , 玉北 , Kis-My-Ft2   
作品ジャンル:タレント
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Kmizusawa5110(プロフ) - お返事ありがとうございます。楽しく読ませて頂きます。 (2017年4月19日 18時) (レス) id: 3f6429dfa1 (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - Kmizusawa5110さん» Kmizusawa5110さん、コメありがとうございます。私自身、明るい読後感が好きなのでそれぞれが納得出来るように持っていきたいと思っています。パスは外しましたので、お好きな時にお読みください(^ ^) (2017年4月19日 18時) (レス) id: f6011e37f2 (このIDを非表示/違反報告)
Kmizusawa5110(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。みっくんと玉森くんと藤ヶ谷くんが良い結果になればいいなと思います。パスワード、教えて下さい。続き楽しみにしてます。 (2017年4月19日 18時) (レス) id: 9aec22d661 (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - yuriさん» yuriさん、いつもコメありがとうございます。メンバーサイドがある程度まで来たので次はやっと…という感じです。もう少し続きますが、また覗きに来てください(^ ^) (2017年4月18日 21時) (レス) id: f6011e37f2 (このIDを非表示/違反報告)
yuri(プロフ) - umenoさん、続けて更新嬉しいです。みんなの優しい気持ちでみっくんが楽になれますように。 (2017年4月18日 20時) (レス) id: c775aeb07a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:umeno | 作成日時:2016年9月25日 4時

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