40 sideY ページ41
…フォローか。
あの後、経緯を宮田から聞いた。
さすがにそれはないだろ、と太輔の態度に呆れたものの、正直そこまでこじれていたとは思ってもいなかった。
何年も隣にいたくせに、太輔の苦しみを本当の意味ではわかっていなかった。今だって、怪しいものだけれど。
激昂した理由を掘り下げることはせずに、下手をしたら怪我させるとこだったんだから、それだけでも謝ってこいと諭した。
本当に謝らなきゃいけないことが もっと深い部分にあるのはわかってる。
けど、そこを言っても太輔は黙ってしまうだけだろう。
それは結局、太輔もみつも、そしてたまも苦しめることになる。堂々巡りだ。
だからせめてその手前の事をみつに謝ることで、少しでも太輔の気持ちが救われるなら、と思ってのことだった。
はたから見ればわかりずらいけど、太輔自身、自分のとった みつへの態度でいつだって傷ついている。
もちろんそれ以上に みつも傷ついているんだけど。
たまも何となく それがわかっていたんだろう。
だから今まで一定の距離をふたりからとっていたのに……。
収録前のみつとたま。
みつの変化。
たまの変化。
予兆なんて、今思えばもっと前からだ。
たまが表立って みつを気遣うようになったのは、いつからだったっけ。
みつが困ると たまを見るようになったのは、いつからだったっけ。
その時は、ふとした違和感だけだった。
―――― 俺、好きなようにするから。
あの言葉はそういう事なんだろう。
たまが前に進んだ一歩が さざ波のように拡がっていく。
みつに、太輔に、…俺たちに。
たまにその一歩を進ませたのは、他でもない みつだろう。
その みつを震わせるのは太輔で。
そして太輔を揺らすのはみつだ。
…結局、あの時から何も変わってないってことなんだろうか。
ふたりが……
太輔が、みつと距離を取り始めた あの時から。
謝りに行ってくると楽屋を出たまま太輔は戻ってこなかった。
収録開始時間が近付いてきて、宮田と探しに出た時、宮田がぽそっとこぼした。
「…色々あとまわしにしちゃってたね、オレら」
宮田を見ると、思いっきり眉を下げ、いつも以上に情けない顔で笑っている。
思わずつられて、ははっと笑ってしまった。
「そうだな…」
そうやって、ふたりに負担をかけてたんだ。
なぜか みつを遠ざけると決めた太輔に。
何もかもを受け入れると決めたみつに。
…傍観者を決め込んで。
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Kmizusawa5110(プロフ) - お返事ありがとうございます。楽しく読ませて頂きます。 (2017年4月19日 18時) (レス) id: 3f6429dfa1 (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - Kmizusawa5110さん» Kmizusawa5110さん、コメありがとうございます。私自身、明るい読後感が好きなのでそれぞれが納得出来るように持っていきたいと思っています。パスは外しましたので、お好きな時にお読みください(^ ^) (2017年4月19日 18時) (レス) id: f6011e37f2 (このIDを非表示/違反報告)
Kmizusawa5110(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。みっくんと玉森くんと藤ヶ谷くんが良い結果になればいいなと思います。パスワード、教えて下さい。続き楽しみにしてます。 (2017年4月19日 18時) (レス) id: 9aec22d661 (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - yuriさん» yuriさん、いつもコメありがとうございます。メンバーサイドがある程度まで来たので次はやっと…という感じです。もう少し続きますが、また覗きに来てください(^ ^) (2017年4月18日 21時) (レス) id: f6011e37f2 (このIDを非表示/違反報告)
yuri(プロフ) - umenoさん、続けて更新嬉しいです。みんなの優しい気持ちでみっくんが楽になれますように。 (2017年4月18日 20時) (レス) id: c775aeb07a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:umeno | 作成日時:2016年9月25日 4時