35 sideY ページ36
みつの様子や収録前のふたりの様子から、気になっていた たまも、宮田と一緒に楽屋に戻ってきた時は、なんらいつもと変わりがなかった。
ただ、みつが心配してたよと伝えると、ふんわり微笑む中に違う感情が見え隠れして、収録後に宮田が言った言葉が思い出された。
「みつにはあとでメッセージ入れとく… ありがと、横尾さん」
そう言って笑うたまは… 裕太は、太輔を小学生と称し怒っていた裕太とも、泣き疲れて眠っている みつを心配そうに見つめている裕太とも違う。何かが変わった。
たった1日。
いや、ほんの数時間だ。
目を閉じていれば一瞬で過ぎ去ってしまうような数時間で、裕太は確実に変わった。
…太輔、おまえ本当にどうするの。
おまえが目を閉じて見ないふりしてる間に、誰にも… 俺にさえ心の内を隠してる間に離れていくかもしれないぞ?
おまえはそれをどこかで願っているのかもしれないけど、失くしてから悔やむほど苦しいことはないよ?
…大概、人生はそんなことばかりだとしても。
「横尾さん?」
黙ったまま考えごとをしてたら、裕太の不思議そうな声で我に返った。
その拍子に宮田と目が合う。
宮田は苦笑いしながら、唇を人差し指でトントンとたたき、唇の前を親指と人差し指を合わせるとゆっくりスライドさせた。
口にチャックってか、
わかってるよ。
外野は見守るのみだ。
だけど…
苦悩してる姿は見たくないな。
いつの間にか自分よりも、メンバーの誰よりも身長の伸びた裕太の頭をくしゃくしゃっと撫でまわす。
「うおっ、なに!?」
「いや裕太も大きくなったなーと思って」
…そうか。
こじ開けたのは裕太だったか。
デビューしたことをきっかけにあのふたりの間に入ることになった裕太。
後ろから見るふたりとは違うものが見えていたんだろうか?
あのふたりに挟まれ、一番近くで見てきたからだろうか?
「いまさら?」
「はは、確かに今さらだな」
自分でも今さらな事を言っているなと思って、笑ってしまった。
そんな俺を呆れたように見ていた裕太は、ぐしゃぐしゃにされた髪に手をやり、くしゃりと自分の指を絡めた。
変なわったー、とつぶやくその声に憂いを感じて、裕太を見る。裕太の瞳は遠くを見つめていた。
…違うか。
距離の問題じゃないよな。
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Kmizusawa5110(プロフ) - お返事ありがとうございます。楽しく読ませて頂きます。 (2017年4月19日 18時) (レス) id: 3f6429dfa1 (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - Kmizusawa5110さん» Kmizusawa5110さん、コメありがとうございます。私自身、明るい読後感が好きなのでそれぞれが納得出来るように持っていきたいと思っています。パスは外しましたので、お好きな時にお読みください(^ ^) (2017年4月19日 18時) (レス) id: f6011e37f2 (このIDを非表示/違反報告)
Kmizusawa5110(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。みっくんと玉森くんと藤ヶ谷くんが良い結果になればいいなと思います。パスワード、教えて下さい。続き楽しみにしてます。 (2017年4月19日 18時) (レス) id: 9aec22d661 (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - yuriさん» yuriさん、いつもコメありがとうございます。メンバーサイドがある程度まで来たので次はやっと…という感じです。もう少し続きますが、また覗きに来てください(^ ^) (2017年4月18日 21時) (レス) id: f6011e37f2 (このIDを非表示/違反報告)
yuri(プロフ) - umenoさん、続けて更新嬉しいです。みんなの優しい気持ちでみっくんが楽になれますように。 (2017年4月18日 20時) (レス) id: c775aeb07a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:umeno | 作成日時:2016年9月25日 4時