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34 sideY ページ35

人懐っこさと軽い部分がどうしても目立つけど、その反面、みつはどこかで構えている部分がある。



出会った頃は本当にただ人懐っこいだけだったと思う。

人好きのする笑顔で、表情豊かな瞳で、あっという間に周りに馴染んで いつも楽しそうに笑っていた。



そんな みつがいつの頃からか、それだけじゃなくなっていた。
いつの間にか人懐っこさと軽さを抱えたままで、いつもみつは緊張するようになっていた。

みつ本人に自覚があるのかはわからない。
訊いたこともないし、これからも訊くつもりはない。



……あぁでも、

いつの間にか、なんて無責任か。
目の前でその変化を見てたくせに。



だんだんと距離が広がるふたりを近くで見ながら、どうにかできないかと色々動いた時もあった。
結果は笑っちゃうくらい何もできなかったけど。



ただ、そうしたことでわかったことがあった。


あのふたりには、あのふたりにしかわからない領域があること。
互いに背を向けていても、いくら離れていても、意識が繋がってるんじゃないかと疑うくらいにお互いの事を感じている。


密やかに、でも確実に。




だから、だからこそ、
みつがその緊張感をまとったままいるのは、みつがみつでいる所以でどうしようもない事なのかと思っていた …のに。




…ねえ、それはたまのおかげ?


俺にはどうすることもできなかった。
ふたりの間に紙で切ったような細い細い傷のような切り目を入れることもできなかったのに。


あんなに目が腫れるまで、身体が熱を持つまで泣けたのは、たまのおかげ?

ずっとずっと誰にも見せないように細心の注意を払って押し込めていたものを解放できたのは、たまのおかげ?



声に出せなかった言葉が、塵のように音もなく降り積もっていく気がする。







「よこーさん?」


みつの声でハッとした。



…忘れてたのに、思い出してしまった。
淡い感情。苦い後悔。


呼んだくせに急に押し黙った俺を見てくる みつはまだ少しだけ腫れぼったい目をキョトンとさせている。




「…ほどほどに、ね」


みつに伝えたい言葉はたくさんある。
でもそれは、俺が言うことではないんだろう。
そう思い直して結局はニカと健永に言った台詞を繰り返した。

途端、ふわっと破顔する みつ。



「うん、」



ありがとね、よこーさん。


そう言って笑うみつは、出会った頃の屈託のない、そのままの みつだった。

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設定タグ:藤北 , 玉北 , Kis-My-Ft2   
作品ジャンル:タレント
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Kmizusawa5110(プロフ) - お返事ありがとうございます。楽しく読ませて頂きます。 (2017年4月19日 18時) (レス) id: 3f6429dfa1 (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - Kmizusawa5110さん» Kmizusawa5110さん、コメありがとうございます。私自身、明るい読後感が好きなのでそれぞれが納得出来るように持っていきたいと思っています。パスは外しましたので、お好きな時にお読みください(^ ^) (2017年4月19日 18時) (レス) id: f6011e37f2 (このIDを非表示/違反報告)
Kmizusawa5110(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。みっくんと玉森くんと藤ヶ谷くんが良い結果になればいいなと思います。パスワード、教えて下さい。続き楽しみにしてます。 (2017年4月19日 18時) (レス) id: 9aec22d661 (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - yuriさん» yuriさん、いつもコメありがとうございます。メンバーサイドがある程度まで来たので次はやっと…という感じです。もう少し続きますが、また覗きに来てください(^ ^) (2017年4月18日 21時) (レス) id: f6011e37f2 (このIDを非表示/違反報告)
yuri(プロフ) - umenoさん、続けて更新嬉しいです。みんなの優しい気持ちでみっくんが楽になれますように。 (2017年4月18日 20時) (レス) id: c775aeb07a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:umeno | 作成日時:2016年9月25日 4時

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