32 sideT ページ33
今までの みつを考えたら、あのタイミングで俺に告げたのは、みつ自身のためじゃない。
絶対に俺のためだ。
そんなの、少し考えればすぐにわかることなのに。
あんな責めたように問い詰めて。
あんなにみつに心苦しく思わせて。
俺こそ自分のことしか考えてない。
ガヤのこと、とやかく言うなんてお門違いもいいとこだ。
「穴があったら埋まりたい……」
穴がないなら自分で掘って埋まりたいくらいだ。
頭を抱えて身体を折り曲げる。
「穴に埋まってるヒマはないんじゃないの？」
しれっと宮田が言う。
どこまで何を知ってるのか、ニコニコと一見人畜無害そうに笑ってる。
…その恵比須顔、ありったけの力で歪めてやりたい。
「…お前に言われると、すっげームカつくわ」
「わぉ、褒められてるぅ？」
両手を口元で握って、キャハッ！と奇声を発している。
場を明るくさせたいのか、俺をバカにしてるのか…わからない。
けど、
「…その通りだよな」
「ん？」
「ここで埋まってても、なんにも変わんない」
悔しいけど宮田の言う通りだ。
のん気にこんなとこで自己嫌悪してる場合じゃないや。
宮田が笑った。
「…意外と復活早かったね」
「うるさい」
「…でも今だけ感謝する。ありがとな」
そう言うと、宮田は鳩が豆鉄砲食らったみたいにポカンと口を開けた。
「その顔、５割増しでマヌケだぞ」
固まったまま動かない宮田の目の前でヒラヒラ手を振る。
大概壊れ気味だけど、ついに壊れた？
声を掛けようとしたら、急に目を見開いた。
「…録音」
「あ？」
「いや、動画！ カメラ！？ …スマホ！ スマホッ！！」
「え？ おい…」
「もう一回、もう一回言って！ たま！！ 撮るから、もういっか… 痛いッ！！」
「マジキモイ」
スマホを出し、鼻息荒く迫ってくる宮田を一蹴する。
一瞬でも宮田なんかに感謝して心配した自分が腹立たしいわ。
「あんな裕くん金輪際拝めない…」
スマホを握りしめ、うなだれる宮田を横目で見ながら、これからどうしようか考える。
今日は俺に余裕がなさすぎて、みつの話をちゃんと聞くことができなかった。
「宮田」
「なに… ぎゃー！」
右手にスマホ、左手に缶コーヒーを持つ宮田に、俺が持っていた乳製品のビンを投げた。
ゴトン、ゴロゴロゴロ…
宮田の手から離れた缶コーヒーは入口の方に転がって、横たわったまま動きを止める。
「…帰ろう、宮田」
多分、もう賽は投げられてる。
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Kmizusawa5110(プロフ) - お返事ありがとうございます。楽しく読ませて頂きます。 (2017年4月19日 18時) (
レス) id: 3f6429dfa1 (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - Kmizusawa5110さん» Kmizusawa5110さん、コメありがとうございます。私自身、明るい読後感が好きなのでそれぞれが納得出来るように持っていきたいと思っています。パスは外しましたので、お好きな時にお読みください(^ ^) (2017年4月19日 18時) (レス) id: f6011e37f2 (このIDを非表示/違反報告)
Kmizusawa5110(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。みっくんと玉森くんと藤ヶ谷くんが良い結果になればいいなと思います。パスワード、教えて下さい。続き楽しみにしてます。 (2017年4月19日 18時) (レス) id: 9aec22d661 (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - yuriさん» yuriさん、いつもコメありがとうございます。メンバーサイドがある程度まで来たので次はやっと…という感じです。もう少し続きますが、また覗きに来てください(^ ^) (2017年4月18日 21時) (レス) id: f6011e37f2 (このIDを非表示/違反報告)
yuri(プロフ) - umenoさん、続けて更新嬉しいです。みんなの優しい気持ちでみっくんが楽になれますように。 (2017年4月18日 20時) (レス) id: c775aeb07a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：umeno
| 作成日時：2016年9月25日 4時
