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02 sideT ページ3

泣き過ぎて身体中の水分がなくなったみたいに、みつがひと回り小さく見える。


みつはメンバーの中だと一番小さい。
けど、本当は一番大きいんだ。



がっちゃんやニカだけじゃない、俺だって みつの背中を見てきた。デビューをきっかけに、俺も前に出ることになった時だって、みつの存在が心強かった。


それが当たり前だった。
当たり前だと思ってた。

みつはずっと、当たり前だと思わせてくれてたんだ。


今ならわかる。
…そう、努力してたんだ。






「…とりあえず、それで冷やしてて」


持てる? って訊くとコクンと小さく頷く。
ペッドボトルを みつに渡し、スマホをポケットから出すと、わったーにメッセージを送った。



―― みつ大泣き
―― 収録まで休ませる
―― マネに別部屋とってもらうから、あとでなんか冷やすもん持ってきて


すぐ既読が付いて、ペコン、とメッセージが返ってきた。



―― わかった。部屋決まったら教えて。


OKのスタンプを送ると、マネージャーに別部屋の手配を頼んだ。




マネージャーとの電話を切ると、それまで黙っていた みつが俺を見上げてくる。



「ありがと…」

「どーいたしまして。じゃ、行こっか」
「…ん」


みつを立たせると、パーカーのフードを被せた。みつはされるがまま、ぼんやりと俺を見ている。

その様子が迷子になった子供みたいに見えて、ちょっと悲しくなってしまう。



みつの手を取ると、みつは不思議そうに俺を見てきた。



「みつ、迷子みたい」

「…ガキ扱いやめろ」
「じゃあ介添えが必要なおじいちゃん」

「……」


あ、黙っちゃった。



「うそ。ごめん」
「俺が手繋ぎたいの。いーでしょ? お兄ちゃん」


みつは無言だったけど、頷いてくれた。

お許しが出たから、んふふーと笑って、繋いだ手を右へ左へ揺らしていたら、みつが少しだけ笑ってくれた。

ちょっとホッとして、みつの手をぎゅっと握り直す。



「行こ」

手を引き、先に歩く。




休憩所の入口にさっき みつが落としたコーヒーがポツンと立っているのが目に入る。


それを拾い上げた時、一瞬、あれ?って思ったけど、それ以上は気にせず、パンツのポケットに入れた。

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設定タグ:藤北 , 玉北 , Kis-My-Ft2   
作品ジャンル:タレント
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Kmizusawa5110(プロフ) - お返事ありがとうございます。楽しく読ませて頂きます。 (2017年4月19日 18時) (レス) id: 3f6429dfa1 (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - Kmizusawa5110さん» Kmizusawa5110さん、コメありがとうございます。私自身、明るい読後感が好きなのでそれぞれが納得出来るように持っていきたいと思っています。パスは外しましたので、お好きな時にお読みください(^ ^) (2017年4月19日 18時) (レス) id: f6011e37f2 (このIDを非表示/違反報告)
Kmizusawa5110(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。みっくんと玉森くんと藤ヶ谷くんが良い結果になればいいなと思います。パスワード、教えて下さい。続き楽しみにしてます。 (2017年4月19日 18時) (レス) id: 9aec22d661 (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - yuriさん» yuriさん、いつもコメありがとうございます。メンバーサイドがある程度まで来たので次はやっと…という感じです。もう少し続きますが、また覗きに来てください(^ ^) (2017年4月18日 21時) (レス) id: f6011e37f2 (このIDを非表示/違反報告)
yuri(プロフ) - umenoさん、続けて更新嬉しいです。みんなの優しい気持ちでみっくんが楽になれますように。 (2017年4月18日 20時) (レス) id: c775aeb07a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:umeno | 作成日時:2016年9月25日 4時

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