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たまの出て行ったドアから目を離せずにぼんやりしていると、ため息混じりで宮田に呼ばれた。
「キタミツ、行こっか」
「…たま、何なの？」
そう言うと宮田が苦笑した。
とりあえず行こう、と促される。
スタジオまでの廊下を宮田から少し遅れて歩く。
うつむいたままで宮田の足を追って歩いてると、ぷっ！と宮田が吹き出した。
宮田の足が進む方向を変えながら止まる。
「キタミツ、幼稚園児みたいですなぁ」
「…俺、最年長」
「存じておりますよぅ。今は親とはぐれた子供かカルガモ親子みたいだけど」
けらけら笑いながら言う宮田になんだか泣きたいような気持ちになる。
「…本当に同じこと言うのな、おまえら」
「ん？」
「たまにも言われた。迷子みたいって」
休憩室でそう言われた。
あの時の たまは困ったように笑っていて、動けなくなっていた俺に、一歩、歩きだす力をくれた。
宮田を見ながら、たまを思う。
ふたりは本当にシンメだ。
ニカ千だって双子と称されるくらいにシンメだ。
わたたいはシンメじゃないけど、仕事以外はシンメだ。
俺と藤ヶ谷もシンメだけど、今は外側しかない。中身がなくなった抜け殻みたいだ、と思う。
そう思うからこそ、俺と藤ヶ谷のシンメが人気ある意味がわからない。
以前ならいざ知らず、今はなんなんだろう。
…本当になんなんだろうな。
ファンの子たちは俺と藤ヶ谷に何を求めてるんだろう。
求められるパブリックイメージに戸惑う気持ちがあるのは嘘じゃない。
昔は自分だって最強のシンメ、そう思ってた。
藤ヶ谷がいればどんな困難があっても乗り越えられる、グループを引っ張っていけるって。
疑わずに信じていられた。
あの頃は想像もしなかった。
自分が藤ヶ谷に恋愛感情を抱くことも、その藤ヶ谷に嫌われ避けられることも。
―― ずいぶん遠くにきちゃったな…
「誰からはぐれたの？」
「…え？」
いつの間にか笑うのを止めた宮田が訊いてきた。
「キタミツは誰とはぐれて、そんなに心許ないって思ってるの？」
誰と？
「…俺は誰とも一緒にいない」
「それ 冗談でもニカ千の前で言っちゃダメなやつだね」
「……ごめん」
「あと、たまの前でもね」
「………う、ん」
たまの名前を出されて、一瞬言い淀む。
「キタミツ？」
「たま、さっき…」
さっき払われた手に視線を落として、その後に続く言葉を探す。
さっきの たま、多分、拒否してた。
…俺を。
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Kmizusawa5110(プロフ) - お返事ありがとうございます。楽しく読ませて頂きます。 (2017年4月19日 18時) (
レス) id: 3f6429dfa1 (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - Kmizusawa5110さん» Kmizusawa5110さん、コメありがとうございます。私自身、明るい読後感が好きなのでそれぞれが納得出来るように持っていきたいと思っています。パスは外しましたので、お好きな時にお読みください(^ ^) (2017年4月19日 18時) (レス) id: f6011e37f2 (このIDを非表示/違反報告)
Kmizusawa5110(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。みっくんと玉森くんと藤ヶ谷くんが良い結果になればいいなと思います。パスワード、教えて下さい。続き楽しみにしてます。 (2017年4月19日 18時) (レス) id: 9aec22d661 (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - yuriさん» yuriさん、いつもコメありがとうございます。メンバーサイドがある程度まで来たので次はやっと…という感じです。もう少し続きますが、また覗きに来てください(^ ^) (2017年4月18日 21時) (レス) id: f6011e37f2 (このIDを非表示/違反報告)
yuri(プロフ) - umenoさん、続けて更新嬉しいです。みんなの優しい気持ちでみっくんが楽になれますように。 (2017年4月18日 20時) (レス) id: c775aeb07a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：umeno
| 作成日時：2016年9月25日 4時
