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藤ヶ谷が顔を歪ませた。
眉間にシワを寄せ、でも視線は外すことなく俺を捉えたままで。



ふと、たまの手に力が入った。

同時に後ろから回されてる腕にも力が入り、そのせいで上半身が後ろに傾いた。その反動で藤ヶ谷から視線が外れる。

不思議に思いつつも視線を戻すと、藤ヶ谷は たまを見ていた。さっきより眉間のシワが深くなっているみたいだ。


つられて振り返ろうとしたら、たまの顔が俺の頭にピタリとくっついて振り返れなくなる。
目だけ一生懸命動かすけど、たまを見る事は出来なくて、



「たま?」


呼んでも反応を返してくれない。

藤ヶ谷に再度視線を向ければ、さっきと同じにしかめっ面で たまを見ている。



「ふじが…」


藤ヶ谷の名前を呼ぼうとしたら、コンコンとノック音に阻まれた。
失礼します! という声と共にスタッフさんが入ってくる。



「スタンバイ出来ましたんで、スタジオへ移動をお願いします!」

「ほーい」


めずらしく たまが一番に返事をした。



「おーし、行きますか〜」


たまの声にニカが続いて、千賀と話しながら衣装のジャケットを着だした。
千賀がめくれてるニカの襟を直してる。



「みーつー、オレたち先に行ってんね!」

「あ、おう」


ニカと千賀が連れ立って楽屋から出て行った。


ドアが閉まり、ふたりの声が聞こえなくなると楽屋内は途端に静かになる。

横尾さんはドアに向けていた目線を戻すと、ため息を吐いた。俺とたまを交互に見ると、やれやれって感じで首を振る。



「俺も移動するわ。…太輔、行こう」


横尾さんは藤ヶ谷に声を掛けると、ソファーに置いていたジャケットを手にして、すたすたとドアに向かった。


藤ヶ谷は横尾さんに少し遅れて歩き出す。でも数歩進むと立ち止まり、振り返った。
こっちを見てるけど視線が合わないってことは、たまを見てるんだろう。

たまをしばらく見たあと、藤ヶ谷はゆっくりした瞬きをして俺を見てきた。



「…先、行ってる」


ぽつりとそれだけ言うと、すぐに踵を返し、入口で待っている横尾さんの元へ向かった。


横尾さんは藤ヶ谷の肩に手を置くと、先に出るように促す。



「たま、宮田、みつをよろしくね」


横尾さんは振り返って言うと、藤ヶ谷の背中を押した。


楽屋から出る時、また藤ヶ谷がこっちを向く。
その瞳が壁の向こう側に消える瞬間、悲しそうに伏せられた。




その藤ヶ谷に、なぜか胸が詰まった。

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設定タグ:藤北 , 玉北 , Kis-My-Ft2   
作品ジャンル:タレント
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Kmizusawa5110(プロフ) - お返事ありがとうございます。楽しく読ませて頂きます。 (2017年4月19日 18時) (レス) id: 3f6429dfa1 (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - Kmizusawa5110さん» Kmizusawa5110さん、コメありがとうございます。私自身、明るい読後感が好きなのでそれぞれが納得出来るように持っていきたいと思っています。パスは外しましたので、お好きな時にお読みください(^ ^) (2017年4月19日 18時) (レス) id: f6011e37f2 (このIDを非表示/違反報告)
Kmizusawa5110(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。みっくんと玉森くんと藤ヶ谷くんが良い結果になればいいなと思います。パスワード、教えて下さい。続き楽しみにしてます。 (2017年4月19日 18時) (レス) id: 9aec22d661 (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - yuriさん» yuriさん、いつもコメありがとうございます。メンバーサイドがある程度まで来たので次はやっと…という感じです。もう少し続きますが、また覗きに来てください(^ ^) (2017年4月18日 21時) (レス) id: f6011e37f2 (このIDを非表示/違反報告)
yuri(プロフ) - umenoさん、続けて更新嬉しいです。みんなの優しい気持ちでみっくんが楽になれますように。 (2017年4月18日 20時) (レス) id: c775aeb07a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:umeno | 作成日時:2016年9月25日 4時

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