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渉との電話を終えリビングに戻ると、北山はソファー下に座り込んで店を広げていた。さすがにハットは脱いだらしく、ソファーの上にぽつんと鎮座している。
北山の手元をよく見ると、企画書…?
「それ新しい仕事?」
ラテの入ったマグカップをテーブルに置いて俺自身も床に座った。先日出したばかりの冬用ラグについた手がゆっくりと沈みこんでいく。
「うん。単発で出た番組が不定期になるらしくてさ、今日貰ったんだ。意見くださいってアンケート付きで」
「へー…」
企画書表紙の番組タイトルを読めば、前クールに北山がサブMCとして出演していた番組だとわかる。
基本好奇心旺盛な北山がメインMCの横で率直に感想を述べながらゲストにも絡んでいく進行スタイルは、すごくハマっているのが一目でわかった。
そもそも人たらしのコイツの魅力が遺憾なく発揮されていて、誇らしく思う反面、複雑な感情も湧いてきたことまで思い出して、いつの間にか眉間にシワが寄ってたらしい。
じっと見つめてくる北山が不思議そうな顔をしている。
「藤ヶ谷? どした?」
「…なんでもないよ」
慌てて笑顔を作り、みっともない嫉妬心を誤魔化した。
北山は一瞬なにか言いたそうな顔をしたけれど、すぐに興味を失ったようにテーブルのマグカップに視線を向けた。
「いただきまーす」
「はい、どうぞ」
手に取ったマグカップを両手で包み込むと、あったかい…とつぶやく。その声につられるように、北山の頬に軽く触れると思っていたより冷たくて驚いてしまった。
本人は気にしてないのか、ふぅふぅとラテを冷ます仕草をしていて、くるっと湯気が巻くと北山の顔を掠め、ふわあっと散っていく。その間も視線は資料に注がれていて、こくこくと小さく喉を鳴らしてラテを飲んでいる。
ふぅ、とひと息ついた隙を見計らって、北山の横髪を耳にかけるように指で撫でると、そのままチラッとこっちを見てくる。
その視線が何かを訴えるように見えて首を傾げると、にへぇっと眉尻を下げて困ったように頬を緩めた。
胡座をかいている脚の間に両手を置いて、マグカップの取っ手を撫でたり摘んだり、妙にいじっている。
んんっ、と小さく咳払いが聞こえて、あのさっと北山が顔を上げた。
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かおり(プロフ) - いじらしいKさん可愛すぎます!!!それを愛でてるFさんも最高です!! (11月5日 11時) (レス) @page28 id: fcc852425b (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - 充瑠さん» 充瑠さん、コメありがとうございます。長いことお待たせいたしました。移行先でもカメスピードですが、お付き合い頂けると嬉しいです♪ お互い大事すぎて不器用になるふたりを見守ってください(^ ^) (2019年4月29日 13時) (レス) id: 2349843d27 (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - yikumiさん» yikumiさん、いつもコメありがとうございます。やっぱり長くなって移行になってしまいました汗 まだしばらく自信が持てないKさんが続きますが、きっとFさんが包み込んでくれるはず…!移行先でもお付き合いお願いいたします(^ ^) (2019年4月29日 13時) (レス) id: 2349843d27 (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - けっピーさん» けっピーさん、コメありがとうございます。こっそり戻ってきました(^_^;)相変わらずのろのろ更新ですが、気が向いたら遊びに来てください。いじらしいKさんも可愛いですが、早く幸せそうなKさんに辿り着きたいです! (2019年4月29日 13時) (レス) id: 2349843d27 (このIDを非表示/違反報告)
充瑠(プロフ) - こんばんは。この作品が大好きで、続きを待っていました。めちゃくちゃ嬉しいです!切なくもいじらしい2人に悶絶しています。この先も楽しみにしています!!! (2019年4月6日 1時) (レス) id: 5cca4c3768 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:umeno | 作成日時:2017年12月18日 19時