25 ページ25
.
北山はいつも裾を握る。
隙間なんかないくらいに抱きしめても、北山の手はこっそりと俺の服の裾を握りしめる。
それをいつも物足りないと思っていた。それが北山の遠慮からだってこともわかっていたけど、特に言葉にしたことはなかった。
その分、その何倍も俺が抱きしめていればいいと思っていた。北山に自分と同じ分だけを望むのは俺の我儘だと思っていたから。
だけど…
「ね、北山。背中ぎゅってして？」
北山はぴくりと反応し、しばらくして伺うように腕がそろそろと背中に回っていく。そっと背中に添わされた手がそれ以上動く気配はない。
「……ぎゅ、は？ してくんないの？」
意識して低めにささやくと、途端に北山の首元が赤く染まっていく。
それを見ただけで愛おしさで堪らなくなる。
一度引っ込めるかのように動いた手がおず…っという感じで徐々に力が込められていく。ぎゅうと背中にしがみつくような、北山の手。
どうせ握り込むなら、俺の背中でしてよ。
キツく抱きしめ直して、好きだよと、ちゅっと北山の耳にキスをする。
くすぐったそうに肩をすくめる北山が頬をすりつけるように、腕の中で動く。
「…おれもすき」
「ふふっ、知ってる」
「うん…」
ね、顔見せて？
俯いたままの耳元でつぶやくと、ようやくふたりだけの顔になった北山と今日初めて視線が絡む。
さっきと同じで鼻と目尻は赤いまま。
でもそれに負けないくらい頬も染め上げて見上げてくる。
その頬に手を添えて わずかに残る涙を拭った。
ごめんね、ずっと不安にさせてて。
促すように傾げると、俺の影を映す濡れた瞳がゆっくりと閉じていく。
君を思えば眠れぬ夜もすぐに明けてしまうくらいに。
「……好きだよ、」
触れる寸前ささやいて、あまくかおる唇にキスをした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1206人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かおり(プロフ) - いじらしいKさん可愛すぎます！！！それを愛でてるFさんも最高です！！ (11月5日 11時) (
レス) @page28 id: fcc852425b (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - 充瑠さん» 充瑠さん、コメありがとうございます。長いことお待たせいたしました。移行先でもカメスピードですが、お付き合い頂けると嬉しいです♪ お互い大事すぎて不器用になるふたりを見守ってください(^ ^) (2019年4月29日 13時) (レス) id: 2349843d27 (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - yikumiさん» yikumiさん、いつもコメありがとうございます。やっぱり長くなって移行になってしまいました汗 まだしばらく自信が持てないKさんが続きますが、きっとFさんが包み込んでくれるはず…！移行先でもお付き合いお願いいたします(^ ^) (2019年4月29日 13時) (レス) id: 2349843d27 (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - けっピーさん» けっピーさん、コメありがとうございます。こっそり戻ってきました(^_^;)相変わらずのろのろ更新ですが、気が向いたら遊びに来てください。いじらしいKさんも可愛いですが、早く幸せそうなKさんに辿り着きたいです！ (2019年4月29日 13時) (レス) id: 2349843d27 (このIDを非表示/違反報告)
充瑠(プロフ) - こんばんは。この作品が大好きで、続きを待っていました。めちゃくちゃ嬉しいです！切なくもいじらしい２人に悶絶しています。この先も楽しみにしています！！！ (2019年4月6日 1時) (レス) id: 5cca4c3768 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：umeno
| 作成日時：2017年12月18日 19時
