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「きたや…」
「大丈夫だから」
そう言って立ち上がろうとする身体を反射的に抱き込んだ。咄嗟のことで力の加減ができなくて、北山の身体ごと倒れ込む。
「ぃ、ってぇ…」
背中半分がベッド下のラグから出て、床に直接打ちつけてしまった。痛みというより衝撃で顔をしかめる。
力が緩んだ隙に北山がするりと腕の中から抜け出した。
「待…」
「んぎゃっ」
北山は再び立ち上がろうとしたけど、俺が捕まえる前に、びたんッと派手な音を立てて転んだ。
また、毛布を踏んづけたらしい。
…そろそろこの邪魔な毛布を剥ぎ取らないと、ふたりして満身創痍になりそうだ。
床にうずくまったままの北山を起こして、よいしょっと、その正面に座った。
「北山、顔見せてよ」
ふるふる、
さっきと反応が変わらない。
このままだと、いつまたこのかたまりが逃げようとするかわかったもんじゃない。正直、北山に本気で逃げられたら、俺じゃ捕獲できない。
「…じゃあさ、その中に俺も入れて? 顔も見ないって約束するから」
ふるふる、
「入れてくんないと、俺が風邪引くよ?」
「………… 」
動かなくなったかたまりが、ジリジリ焦れているのがなんとなく雰囲気でわかる。
…そこまで悩むのかよ。
と思ってたら、もぞもぞと動いて毛布の端っこが出てきた。拒否されなかったことにホッとして、ゆっくりめくり上げて中に入る。
サイドテーブルのライトの明かりが隙間から入って、北山の丸くなった身体を一瞬照らす。
―――― ちまっと丸まって難しい顔して。いじらしいって思ったから助けたくなっただけ。
いじらしい、そう表現した渉に舌打ちしたくなる。
そういう姿、簡単に他の奴に見せてんじゃねーよ。
「…北山、おいで」
「! …やだ!」
今日何度目かの拒否。突っぱられた腕を取り、強引に抱きしめた。
横向きだけど腕の中に収まった北山の体温に、ざらついて燃えかけた嫉妬の炎が落ち着きを取り戻す。密着してる部分から北山の鼓動が伝わってきて、それだけで満たされた気分になる自分に苦笑してしまう。
「…あったかい」
北山の首筋に顔を埋めてつぶやくと、くすぐったい、とわずかに身をよじられた。
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かおり(プロフ) - いじらしいKさん可愛すぎます!!!それを愛でてるFさんも最高です!! (11月5日 11時) (レス) @page28 id: fcc852425b (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - 充瑠さん» 充瑠さん、コメありがとうございます。長いことお待たせいたしました。移行先でもカメスピードですが、お付き合い頂けると嬉しいです♪ お互い大事すぎて不器用になるふたりを見守ってください(^ ^) (2019年4月29日 13時) (レス) id: 2349843d27 (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - yikumiさん» yikumiさん、いつもコメありがとうございます。やっぱり長くなって移行になってしまいました汗 まだしばらく自信が持てないKさんが続きますが、きっとFさんが包み込んでくれるはず…!移行先でもお付き合いお願いいたします(^ ^) (2019年4月29日 13時) (レス) id: 2349843d27 (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - けっピーさん» けっピーさん、コメありがとうございます。こっそり戻ってきました(^_^;)相変わらずのろのろ更新ですが、気が向いたら遊びに来てください。いじらしいKさんも可愛いですが、早く幸せそうなKさんに辿り着きたいです! (2019年4月29日 13時) (レス) id: 2349843d27 (このIDを非表示/違反報告)
充瑠(プロフ) - こんばんは。この作品が大好きで、続きを待っていました。めちゃくちゃ嬉しいです!切なくもいじらしい2人に悶絶しています。この先も楽しみにしています!!! (2019年4月6日 1時) (レス) id: 5cca4c3768 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:umeno | 作成日時:2017年12月18日 19時