眠れぬ夜は誰のせい１ sideF

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失敗したかな。



そう思ったのは、なんの気なしに記事をアップした後だった。時間差はあれど、次々に気遣うメッセージが入ってきて、やってしまったと思った。



せんがーガヤさん、大丈夫?

にっかいどーずっと寝れてないの?

みやーたそんな夜は宮田と飲み明かしましょうぞ!!

たーまガーヤ、時間作って買い物行こうよ〜




よこおーあとで安眠グッズ送るよ




グループトークに５つのメッセージ。

直接的だったり間接的だったりはするけど、みんな俺の記事を見て送ってくれているのがわかる。


でもただひとり、北山からのメッセージはなかった。



いつも業務連絡やニカ千が送ってくるくだらないメッセージには速攻返信するくせに。音沙汰もない。

結局、俺の存在なんてそんなもんかと落胆する自分に、心配かけたくて記事をアップしたんじゃないだろう！？ と自己嫌悪に陥りそうだった。




ただでさえ神経が尖っていて眠れないのに、自分でドツボにはまるなんて…

もはや何に対して後悔してるかも分からなくなった頃。




ピンポーン、



深夜とまではいかないけど、こんな時間に誰だよ…と不審に思いながらドアスコープを覗く。湾曲した丸い画角に見慣れた、自分とお揃いのハットがレンズ越しに揺れている。



「渉？」



思い当たる持ち主を思い浮かべれば、自然とさっきもらったメッセージが思い出された。




――――あとで安眠グッズ送るよ



わざわざ持ってきてくれたのかと慌ててロックを外しドアを開けると、そこにはなぜか渉のハットを被った北山が満面の笑みでいた。





「来ちゃった♡」




「…………」



バンッ！！

「っ、待て待て待て待てッ！」

思いっきり閉めたはずのドアの隙間から、眉間にシワを寄せ、引きつりながら笑っている顔が覗く。

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