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「トントン、僕のこと殴ってええよ」
「はぁ？」
「君の言う通り、僕はもう何も出来ないと諦めた。無理だと治療する手を止めて、せめてもの思いでこの家に来た。医者としてだらしない。だからお願い。殴ってくれへんか？」
俺の気を落ち着かせるために言っているわけじゃないと分かった。彼は自分の犯した過ちを受け入れたいから、そう言ったのだ。襟を掴んでいた手を離し、目をつぶって制裁を待っている彼の頬に向けて俺は勢いよく振りかぶった。
ペチ、と情けない音が鳴る。待っていた男は驚いたように目を開けて俺を見た。彼の瞳に映る俺の顔が酷く歪んでいて、じわじわと視界がぼやける。情けない。でも、この人は悪くない。殴ったとしても、Aさんが助かるわけじゃない。
「……言い訳に聞こえるかもしれんけど、魔女もしくは魔法使いの医者は何でも治せると言っても過言じゃない。でも、今回のように医者がどんなに頑張っても手をつけられないケースがある。それはな、トントン。人間の憎む気持ち。人間が僕らに対して、殺したい、消したい、死んでしまえと思っていて、それを何かしらの形でぶつけてしまえば僕らにとって致命傷になる。
それでも、その憎しみの強さによって治せるもんもある。それでも無理ならAは、余程憎まれていた」
俺はしんぺい神さんの話を黙って聞くしかなかった。ソファで眠るAのまだ温もりのある手を握りながら。
「ごめんなぁトントン、A。どうか許さんといて。……なぁ、A。お前は昔から魅力的なやつやったよ。誰からも。……嫌味一つ言うくらい許してくれや」
そう言ってしんぺい神さんがさらりとAの額を撫でる。「また会えたらええな」と言葉を残して彼はこの家を去った。
薪の燃える音と微かに聞こえる息の音は彼女がまだ生きている証。彼女の控えめな胸に耳を当ててそれが本当だと告げる心音が聞こえてきた。よかった、まだ生きている。
「………トントン……？」
消え入りそうなほど小さな声。いつものような騒がしい元気さはなく、声を出すのもやっとな彼女目は薄く開かれその奥は朧気だ。
目を覚ました安心感と、彼女の様子を見てまさかそんなと疑惑が募る。居場所を求めて彷徨う右手がたどたどしく俺の頭に触れた。まさか、A、なあ
「はは……何も…見えない、や……そこにいるの……？」
冷たいAの手が力なく俺の頭を撫でる。絡まない目線がそれが事実だと無慈悲にも告げていた。
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あろま(プロフ) - 佛无さん» コメントありがとうございます！嬉しいです！涙は責任取って拭かせて頂きますね( ・ω・)つ［ハンカチ］ (2018年4月26日 5時) (
レス) id: 1d2227b96e (このIDを非表示/違反報告)
佛无 - 涙止まんないじゃないっすかぁああ (2018年4月14日 17時) (レス) id: c25a3a0724 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 星空りゅなさん» コメントありがとうございます！そうなんですゾムさんの話も考えてあります！メインとして出ない方もおりますが、全メンバー出せるように構成しています！是非お楽しみください！ (2018年3月25日 9時) (レス) id: 0dbea69be7 (このIDを非表示/違反報告)
星空りゅな - ふぁっ！？ぐ、グルッペンバージョン…だと！？嬉しいです！…ﾊｯてことはゾムさんもいつか…？(ｿﾜｿﾜ更新頑張ってください！待ってます！ (2018年3月22日 21時) (レス) id: 8876898f76 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 通りすがりの変人さん» コメントありがとうございます！実は完結ではないんです！この後にもほかのメンバーでの話をアップしていく所存なので、是非そちらも読んで頂ければ幸いです。最後の部分はどうまとめるか悩みましたが、そう言っていただけて嬉しいです！ (2018年3月13日 8時) (レス) id: 0dbea69be7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま | 作成日時：2018年2月19日 6時
