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8話 ページ9

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「ありがとうございましたー!」



受付のお姉さんがわざわざ車の前まで見送ってくれた。なんていい人なんだろう。



「結構あっさり終わりましたね!」

伊坂「そうね。この調子なら暗くなる前に帰ってこれるかも」

「いやーそれにしても、姐さんさすがっすね!社会人として格の違いを見せられましたよ!」

伊坂「あらありがと。まあ、どっかの誰かさんはボーッとしてたみたいだけど?」

「ノンノン!姐さんの風格に見惚れてたんです!」

伊坂「よくいうわ」



次に向かうは渋谷改め、若者の街である。仕事以外で行くことはほぼないが、あの有名なハチ公ちゃんが案外こじんまりしていたことに衝撃を受けたことはよく覚えている。


「姐さんが初めて渋谷に行ったのは大学生になってからなんでしたっけ」

伊坂「うん。高校生の間は天王寺だの心斎橋だのをうろついていたからね」

「渋谷に憧れはありました?」

伊坂「そこそこあったわよ。テレビで渋谷のJKなんかが特集されてると、いいなー私も行きたいなってね」

「大阪の人って大阪出身であることに強い誇りがあるもんだと思ってました」

伊坂「そういう人もいるってだけよ。私はむしろ東京に行きたいって思ってたから」

「人それぞれとはまさにこのことですね」



こんな取り留めのないことを話しているうちに、車窓には浮かれた若造たちが映りはじめていた。



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作者名:梅昆布茶 | 作成日時:2023年4月29日 16時

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