42話 ページ43
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=二郎side=
「よし!・・・これでどうだ」
三郎「・・・もう、なんでそうなるんだよ」
「はぁ?お前が地味なのにしろっつったんだろ」
三郎「わかった、わかった。もうそのサングラスは外して行くぞ」
張り込みのために地味な服に着替えたところ、なぜか文句を言われている俺。当の三郎はいつもの真っ黄色パーカーなんか羽織っちゃったりして、お前の方が派手じゃないのかと思う。
「お前もっと地味なの着ろよ。それじゃ派手だろうが」
三郎「僕は中学生らしい普通な服を着ているまで。二郎こそ目立ちかねないと思うけど」
「俺のは目立たねえよ。だって黒だもん」
三郎「その思考回路が低脳を露呈してるんだよ・・・どこにそんな不審者みたいな高校生いるんだ?」
「不審者じゃねえ、エージェント二郎だ」
三郎は「漫画の読みすぎだろ・・・」と呆れている様子。つくづく、こいつは夢がねえなと思う。
もし、三郎が良からぬ女性に引っ掛かったら・・・ない話じゃないだろう。こいつはお世辞にも友達が多いとは言えない。だからこそ、ちょっと優しくしてもらっただけで惚れてしまうなんてこともあり得る。
三郎「うーん。こっちか」
「いや、あっちだろ」
三郎「二郎は地図も読めないのか?」
毎月3万弱も彼女に溶かす馬鹿野郎になったら、たとえ過干渉と言われようが低脳と言われようが俺が全力で殴りに行ってやるつもりだ。・・・でも、財布の紐が恐ろしく硬い男だから毎月3万は流石にないような気もする。
「おぉ!あれか!」
三郎「案外近かったな」
池大か・・・ここは日本でも中々な名門校。フユトさん、頭は良かったんだな。
あ、そういうことか。きっと賢くて真面目な弟がこんなバカなことをするはずがない、とナツエさんも思っていたんだ。
そう思うと急にナツエさんに親近感が湧いてきた。わかるぜ、弟って大変だよな。
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作者名:梅昆布茶 | 作成日時:2023年4月29日 16時