39話 萬屋ヤマダのご依頼篇↓ ページ40
.
=一郎side=
土曜の昼下がり、萬屋ヤマダの事務所を掃除しているとチャイムが鳴る。依頼人だろうか。
事前に電話をくれる人もいるが、看板を見て頼みにきてくれる人もいるから予定外の依頼も珍しくない。
「はーい!」
女性『あ、あの・・・依頼したいことがあってお伺いしたのですが・・・』
「あー!はいはい、少々お待ちくださいねー!」
声は女性っぽいから浮気調査かそれともネコ探しか。浮気調査ひとつ取っても、ガチパターンと勘違いパターンがあるからホントにご苦労なもんだよなと思いながら扉を開いて女性を中に入れる。
年齢は二十代前半ぐらい・・・よからぬ詐欺に引っかかった可能性もあるか。
「俺は萬屋ヤマダの山田一郎です。ご依頼内容をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
女性「はい・・・えっと、中身がややこしいので順を追ってご説明いたしますね・・・」
そういうと、女性はカバンからおしゃれな手帳を取り出した。メモってきているのか。そいつはありがたい。
俺もメモ用紙とペンを握って女性の話を待つ。
女性「まず、私には弟がいまして、弟は今年から大学生で歳は18です」
「ほうほう」
女性「上京して池大に通っているんですが、そこで悪い人たちに引っかかってしまったようで」
「悪い人ですか」
女性「はい・・・入学して早々、彼女ができたと言っていたんです。でも、その彼女にやたら金をかけていて」
「なるほど」
女性「その彼女もいろんな男の人と夜遊んでるみたいで・・・デート商法的なやつなんじゃないかとか心配で」
まじか。まさかの本人ではなく本人の弟さんが浮気をされ、よからぬ詐欺に引っかかったらしい。
.
54人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:梅昆布茶 | 作成日時:2023年4月29日 16時