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30話 ページ31

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あれから小一時間ほど喋っていた気がする。さすが弟二人を世話している兄貴なだけあって、お話するのがとっても上手で話題が尽きない。そして私も妹気質が地で備わっているんだと思う。



「そうだ!私のことは名前で呼んでくださいよ!」

一郎「え?別にいいけどなんでだ?」

「だって、名字呼びってちょっと寂しいじゃないですか!」

一郎「あー確かにAちゃんは名前で呼んでくれてるからな」

「おぉ・・・!!ナチュラルに変えてきますね」

一郎「ハハッ、ちょっと気まずくなるようなこと言うなよ〜」



これが良い兄貴たる所以か・・・!!どこぞの兄ちゃんとは大違いだ。どこぞの兄ちゃんもすごく良い兄貴ではあるんだけど。クソガキの戯言にもしっかりと返してくれる。会話のキャッチボールとはこのことよ!

そして、あまり長居するのも悪いからそろそろ店を出ようかなんて思った時に事は起こる。



「自分の分は自分で払えますよー!」

一郎「いやいや、一応俺の方が年上なんだ!俺に払わせてくれよー!」



もちろん、相手が姐さんだったら喜んで払ってもらってたところなんだが。
先日知り合ったばかりの一郎さんに全額出してもらうというのは、なんか流石に申し訳ない気持ちが込み上げて抑えきれないぜといったところで、さあどうしようか。こう見えても政府関係者なんだからお金だってちゃんと持っているのに。



「それじゃあ割り勘でどうですか!」

一郎「割り勘〜??」



やはり不服そう。どんだけ支払いたいんだよ、この兄貴は。
いや、それともいつも下二人の分まで全部一郎さん持ちで年下が金を出す状況に慣れていないのか。だとしたら、もはや兄貴通り越して親やん。偉すぎやしないか?



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作者名:梅昆布茶 | 作成日時:2023年4月29日 16時

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