26話 ページ27
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「これ・・・なんですが」
店員「う〜んと?」
伊坂「ここの割引券だって人から頂いたものでして」
どうしたものか。みなとみらいのクレープ屋なんてここぐらいしか思いつかなかったのだが、
少し見ないうちに新しい店でもできてしまったのだろうか。
店員「・・・あ!!え!?」
「も、もしかして別の店のやつでしたか?」
店員「いや、これウチのやつだよ!え、でもなんでこんな古いの持ってるの!?」
伊坂「古い?」
店員「うん、これー確か・・・四、五年前ぐらいに配らなくなったやつなんだよ」
「うそん。それじゃあ、使えないんですか?」
店員「まさか!むしろカモンカモンだよ!」
伊坂「良かった・・・」
ほんとになんちゅうもんを渡されてしまったんだ。
まさか、もう古くて使えるかわかんないからよこしてきたんじゃないだろうな、あの人。
店員「いやーそれにしても、まだこんなん持ってる人がいるなんて嬉しいねえ」
「アハハ、照れますなあ」
伊坂「別にあんたのではないけどね」
店員「でもAちゃんもだいぶ長いこときてくれてるだろう?あの兄ちゃんは元気してるかい?」
「あーあの人ならどっかでふら〜っと生きてますよ」
店員「連絡とかは?」
「特にないですね。お互いに干渉し合わないのがモットーなんで」
店員「そっかー」
クレープを食べながら顔馴染みの店員さんと少しおしゃべりをして店を離れた。
いつもなら悩みまくって決めていたトッピングを、私があっという間に注文する姿を見て、
「こいつ仕事中にこれ考えていたな」と速攻で伊坂の姐さんにバレたことは言うまでも無い。
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作者名:梅昆布茶 | 作成日時:2023年4月29日 16時