ARS課の事件簿最終章 (ページ46)

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329 翔side ページ46

A…彼女は同姓同名の別人でも何でもない

彼女は俺達ARS課の仲間であり、櫻葉町連続失踪事件の主犯格だ
執行猶予期間の3年が終了してから俺以外の皆が探してくれたみたいだけど、彼女だけ見つからなかった

そんな彼女とどうして結婚することができたのか？
結果的にいうと、それは奇跡の連続だった

偶然、相葉くんが奥さんと買い物に行った場所にAも買いにきていて…
相葉くんが半ば強引に彼女をこの探偵事務所に引っ張ってきた

当時、彼女はこの探偵事務所の近くの店でパートで働いていたみたいで、存在は知っていたけどまさか俺達がやっているとは思わなかったそうで
酷く驚かれた

すると、ここの所長智くんが突然「ここで一緒に働かない？」ってスカウトして俺達もそれに同意した

最初の頃はお互い気まずかった
AはAで俺達を傷つけてしまったという落ち目があるし、
俺達は俺達で…そんな彼女にどう接していいか分からなかった

だけど、分からないなりに俺達は彼女と10年以上の空白を埋めるために色んなことをやった

バーベキューや、近所のおじいさんの田植えから稲刈りまでの作業を手伝ったり…
春にはお花見もしたし、夏には手持ち花火で遊んだ
秋は、近所のおばあちゃんにいただいたさつまいもで焼き芋大会もしたし冬はクリスマスを一緒に過ごした
もちろん、お互いの誕生日も祝った

すると、少しずつ彼女はARS課時代のような…いや、それ以上の飾らない笑顔を見せるようになった

その笑顔を見る回数が増えてきた頃
俺の気持ちに4人とは別の感情が芽生えてきた

LOVEという意味での好きだった

いつのまにか4人もそれに気づいたみたいで、何とか俺と彼女をくっつけようとした

ある日、思いきって彼女に告白したらすぐに断られた
理由は案の定、「貴方達を騙した私なんて…」って言われたから「じゃあ俺はどうなるのよ」って返した

「俺だって心のそこでは、俺みたいな奴がAを含めた皆の側にいていいのか？って悩むよ
いまだに心療内科に通ってるし」

って告白したら、彼女は傷ついた顔になったので、

「だけど、最初の頃よりは皆がいるおかげで回数も減ってきたし、人の目を気にするのも随分ましになったんだよね…俺は君にも幸せになって欲しい、俺と一緒に同じ未来を歩んで欲しいんだ」

若干プロポーズみたいなことを言ったら

「私でよければ…」

とその日のうちにOKの返事をしてくれ、交際期間をすっ飛ばして俺達は結婚した