デイライトⅡ (ページ2)

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ジャルージー② ページ2

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二人、黙ったまま廊下を歩く。
今日はこのままさよならかなって思ってたけど、少し離れて後をついてくるから、親の後を追うひよこみたいで可愛くて一人で笑った。

玄関を開けて、仕方ないな…と扉を閉めず振り返る。

「おいで、元太くん」

微笑いかけると、マスクの下彼が少し笑ったように見えた。

扉を閉めるとすぐ元太くんが私を抱き寄せ、叱られた犬みたいにしょげながら「ごめん」って呟いた。

「何がごめんなの？」

「 …さっきの、うざかったかなって…ほら、やきもち？」

その言葉でやっと、ヤキモチだったのかって分かった私です。なんてことは言えないので、抱き寄せられた体を一旦離し彼の顔を見上げる。

シュレックに出てくる猫みたいな顔して私を見つめてくるからその頭をぐしゃぐしゃ撫でた。

「どこまで癒してくれるつもりですか、元太くん」

「 …んー違うんだって」

潤んだ瞳。どっちが彼女か分かんないなぁ、全く。
平均より薄っぺらいけど私にとっては大きな君。背伸びをして可愛いリップ音が鳴ったキスをひとつ。

大丈夫なのに。君にならきっと、何されたって愛おしいのに。

「 …キスで誤魔化されないよ？」

「うそ～。雰囲気に呑まれるタイプじゃなかったっけ」

「俺は毎日大人の階段登ってんの！」

「あはは、なんだそれ」

好きでいてくれてるって実感できるから嫉妬っていいもんだなと恋愛初心者は思う。

こんな世界で、永遠の約束はできないけど
それでも私なりにはずっと一緒にいたいとは思ってるんだよ。でもあんまり伝わってなさそうで、どうしたものか。

「私には元太くんだけだよ？」

ドラマで聞いたことあるような歯痒いセリフをまさか自分が言う日が来るとは。人生ほんとに分からない。
いやそもそも私がこんなに可愛い素敵な人とお付き合いできることがすでに奇跡であって…云々間何…

「うん…分かってるよ、分かってるんだけどさ…Aさん綺麗だし良い人だから俺みたいに好きになる奴絶対いると思うのね。それがもうなんかやなの」

「 …気にしなかったら良いんじゃない？」

「それが出来たら苦労しないのよ、おねーさん」

相変わらずご機嫌斜めな元太くん。
ソファに座ってたのに、コートをかけてた私の方にすごすごとやってきて後ろからハグ。

肩に感じるこの重さが心地いいって思うのはこの世界に私だけだろう。それだけで私には十分なんだ。