【コラボ】混ぜても危険物販売取扱所【短編集】 (ページ8)

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よーい、どん！ / nanaco ページ8

特にすることもなく、けれど帰る気にもならない放課後ってあるよね。っていうことで、特に用事もなく、いつものメンバーで集まった。昨日のテレビの話で盛り上がっていたはずやのに、何をどうしたのか、話題が一変した。

「ななちゃんってさ、童貞なの？」
「…はい？」
「なな湖さんは童貞だよ、ヘタレだから」
「なるほど。ファンにも手ェ出せずってことね」
「殿もAもひどい！俺はヘタレじゃなくてジェントルマン！好きな子以外には手ぇ出さへんの！」
「ジェントルマンと好きな子以外に手を出さないのはちょっと違うと思うけどな」

愛ゴリの鋭い指摘のあと、さらに鋭い指摘をAからされた。

「ってことはななちゃん好きな子いるの？」
「えっ！」
「えー、なな湖先輩好きな子いるんすか～？」

にやにや笑うとりっぴぃは、俺の好きな子がまさに今目の前にいる子だって知ってるくせに、そう言うんだからたちが悪い。

「ねえねえ、誰ー？」
「俺も知りてえな～」
「早く～」
「愛ゴリも殿もひどい！知っとるくせに！」
「知ってるってことはいるんだ！」
「えっ！いや、そのー…」
「あーあ、やっちゃいましたね」
「とりちゃんも知ってるの！？わたしだけ仲間外れじゃん！」

ああもう、なんやねんこれ！わしわしと頭を掻くと、髪の毛やばいよと笑われた。窓に映してみれば、たしかにやばかったけど、今は気にしてられへん。

「………言わなあかん？」
「あかん！ななちゃんおねがい！」

ちらりと3人を見ると、それはもうにやにやしとる。他人事やと思って！

「……Aが好き、やったり…」
「あぁ5組の！可愛いよね！」
「……」

勇気を振り絞ったのに！確かに5組にもAって名前の子いるけど違う！3人は大爆笑しとるし！

「んなわけあるか！お前が好きなんや！」
「え、Aってわたし！？」
「当たり前やろ！まさかこの流れで5組のAさん出されるとは思わんかったわ！」
「まじですか、殿」
「何で俺に振るの。マジですよ」

そっかー、まじなのかー、でもわたしななちゃんのことそういう風に見たことないからなー。きれいな髪をふわふわ揺らしながら紡がれた言葉にがっくりする。そりゃ、いつも5人でいたし。そういう風には見られてなかったって言われても納得するしかないんやけど、やっぱりショックや、なんて思っていると。

「でも、ななちゃんと付き合うの、ちょっと楽しそうかも」

にっこり笑顔で言われて、完全にやられてしまった。

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