【宮治】183センチ隣の席《 完結 》

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｢ご、御自由にどうぞ｣
｢御自由に、ってなんやそれ｣

私がそう言うと話しているときずっと仏頂面だった宮くんが少し口元を緩めて見せた

普段からもう1人の宮くんには感情剥き出しにしてること多いけど、仲良い人にもあんまり笑ったりしないタイプだと勝手に思っていたから、こんな脊髄で答えたような返事にも笑ってくれるとは思わなくて面を食らうし、不覚にも心臓を持っていかれたかと思った




｢飯食う時間なくなるからまた後で話しに来るわ｣




そう言って私のノートを机に置いて宮くんは自分の席に戻って行く。今日初めてまともに話したのにあんなこと言われて普通でいれるわけなくて、焦点が合わない一点をつい見つめてしまう

一部始終宮くんとのやり取りを目の前で見ていた友達に｢A、厄介なのに好かれたね｣と言われ漸く現実に戻ってきた、けど一緒に羞恥も来て自分のノートを下敷きになるのを構わず机に突っ伏して顔を上げる



｢無理、顔の良い関西弁が強過ぎて、あれは無理｣

｢関西弁好きやもんなあ｣

｢好きい、推しに一目惚れしたせいで推しの特徴が私のツボになっている、つまりこれも全部推しのせい｣

｢うん、とりあえずお弁当開けたら？｣



友達に笑顔を浮かべられながらそう諭されお弁当箱を開けると、今日のお弁当箱の中にはパンダを模した可愛い見た目のおむすびがぎゅうぎゅうと詰まっていて自然と笑みがこぼれる

こういうのが作れるのを知って今日のお弁当のご飯は自分でパンダのおむすびにしてみたんだけど、改めて見てもパンダにしたおむすびは可愛い



｢お、相変わらずやることは可愛い｣
｢待って、それどういうこと？｣
｢どうせ推し関連でしょ、でもなんでパンダ？｣
｢省略すると推しがFF7RのCMパンダで出てる｣
｢推しに影響され過ぎだけどそれはパンダにするわ｣
｢でしょ？これも一種のヲタ活｣



パンダモチーフの筆箱とリュック、私の髪を結ぶイメージカラーの黄色いリボン、それとたべっ子どうぶつを持ち歩くのが最近の私の学校での当たり前、買い物行くと大体パンダと黄色に目が行きがちだから本当に推しに影響は凄くされている

黄色い服は似合わないから代わりに黄色とパンダの小物があるとつい手に取りがちになっている現実だし、それはよく友達に指摘されるぐらい

たまに推しが好き過ぎて推しになりたいのかな、って思うときもあるけど多分それは違くて、推しを身近に感じることによって精神を安定させているんだと思う

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