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▽
「お久し振りですね」
誰もいないしんとした廊下で聞き覚えのある低く色っぽい声に呼び止められて振り返る
お久し振り、と言われても同じ学校でしかも同じクラスで好きな人の親友となれば嫌でも顔を見ている人なのだけど
実際に彼と2人で話をするのは、いやもしかしたら話さえするのも去年の冬ぶりだったりするかもしれないんだけども
「なに、何か用があるんでしょ?じゃなきゃとわぽんが私に声掛けることなんてないし」
「そうですねぇ、私は極力貴女とは関わりたくありませんので、ていうか話している今でも虫唾が走るぐらいですよ、本当」
じゃあ話さなきゃ良いじゃん、とは思うがわざわざ人が居ないときを狙って私に話しかけてくるあたり話さなきゃいけないことなんだろうから私は黙って数十センチ背の高いとわぽんの目を見るため首が痛くなりそうなぐらい顔を上げる
目が奥で怪しく光るあの目はいつ見ても苦手なのだけど去年の今頃は彼を狙って女の子がアピールしていたぐらいだから誰かからしたら彼も魅力的のなのだろう
そう思っていると彼はいつもの悠々としていた顔で私のことをじろりと見る、蛇に睨まれた蛙みたいに固まってしまうのはやっぱりその目がトラウマだから
「まぁ、でも最近は随分と良いご身分ですねぇ、すっかり可愛らしくなってしまって上位のグループに入って、フジに告白されてキヨにも告白されて、でも自分は牛くんが好きだからこの告白を断って、なんて」
「なんで知ってんの」
「まぁ、話が聞こえてくるのと貴女のことは見てれば大体分かりますよ、私はこんなに貴女のことが嫌いなのに貴女は私の方ばかり見る、勿論、貴女も私のことが嫌いでしょうからそうなると必然的に好きな相手は牛くんになるんですよ」
確かにとわぽんもキヨやフジとはタイプが違うもの1年生の頃から注目されていたし去年と変わらずうっしーと居るとはいえ今じゃあの辺とも絡んでいるからそういう情報は溢れるぐらいに来るんだろうけど
でも、とわぽんに好きな人がバレたのはマズいと直感した、だってそれは、
「でもまぁ、流石魔女ですよねえ」
さっきまで悠々とした顔が途端に歪み怪しく笑い私にそう言い始めた、その言葉は酷く切れ味が良く、まるで回ってきた便りのプリントで思わず指を切るぐらいの痛みに似ていて
傷口も小さく浅い筈なのに、それに似合わない痛さを心臓の奥の方で感じているような感覚に耐えるよう思わずスカートの裾を握った
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ごま - すごくドキドキして全員解釈一致!!!と大声出してしまいました。最高です。難しいかもしれませんが続き読みたいです!! (2022年9月19日 11時) (レス) id: c47dac1fd0 (このIDを非表示/違反報告)
めろぱん(プロフ) - 貴方様と、貴方様の作品に、出会えて本当に良かったです。此方も検索避けの出来ていない方に注意喚起を積極的に行っていきたいと思っております。長文失礼しました。 (2017年10月13日 18時) (レス) id: bf59b21d5e (このIDを非表示/違反報告)
めろぱん(プロフ) - 非常に残念に思っております。この作品の続きも読みたくてたまりませんし、今まで投稿されていた作品ももう一度読み返したい気持ちでいっぱいです。しかし当たり前のことをできない、マナーを守れない方がいらっしゃる今、作品の公開が難しいことも分かっております。→ (2017年10月13日 18時) (レス) id: bf59b21d5e (このIDを非表示/違反報告)
めろぱん(プロフ) - はじめまして、最近貴方様の作品を拝読させて頂いておりました。コメントはしない質だったのですが引退などなされる前に感想を残しておきたかったためコメント失礼します。検索避けは当たり前だと思っておりましたのでこのような事が起きてしまったこと、→ (2017年10月13日 18時) (レス) id: bf59b21d5e (このIDを非表示/違反報告)
あぼかど(プロフ) - 右京大河さん» 了解致しました。確かに読んでいる側も目を光らせて気を付けなきゃなりませんね。これからも無理しない程度に頑張ってください。貴方様の作品、大好きです。 (2017年10月7日 12時) (レス) id: 6e448ffd48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:右京大河 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ukyota/
作成日時:2016年11月15日 16時