35.side you 8/9更新 ページ35
▽
｢えっ、じゃあヒラくんにもっと中高の話出来たってこと？｣
この情報を処理するのには余りに時間がかかる、けど沈黙になればなるほど気まずくなるだけだから、なにか話さないと
そう思って出てきたのは、幼稚な言葉だった
｢それは、そうだけど｣
｢も〜！早く言ってよ！もっと色んな話出来たじゃん！｣
緊張感のある声色で返事するヒラくんとは反対に、私が明るい声色でそう言って机に項垂れてみせると、私の反応が余りに予想外だったのか、ヒラくんは目を見開いて一瞬ポカンとした表情をしたあと｢なにそれ｣と笑いながら解けたようにそう言い、次第にいつもの調子に戻っていく
いつも通り2時間程お酒を呑みながら他愛もない話をしてスマホが21時過ぎを表示する頃、そろそろお開きにしようかと会計をし、夏の微熱を感じながら駅まで一緒に歩いていると、急にヒラくんが今日の呑み始めのことを口に出してきた
｢あのさ、ごめんね、今日急に変なこと言っちゃって｣
｢ううん、大丈夫だよ｣
｢そっか、じゃあまた明日ね、楽しかったよ｣
｢うん、私も、じゃあね｣
なんて言って駅の改札口でヒラくんと笑顔で別れたけど、正直気持ちは全然大丈夫じゃなくて、帰路に向かう電車の座席に座るなり繕っていた楽しそうな笑顔は消え、言い伝えのように幸せが逃げていくみたく｢はあ｣と大きな溜息
ヒラくんが今までどういう気持ちで私に接していたのか分かんなくなってきちゃって、いつもみたくヒラくんと楽しい時間を過ごしたつもりだったけど、さっき食べた居酒屋のご飯の味なんてなにひとつ覚えていない、何なら疲労感さえある
あーあ、せっかく久々にヒラくんと呑めるって思って今日のこと楽しみにしていたのにな、仕事だって頑張ってきたのにな、なんていうんだろ、この気持ちを簡単に言葉に表すとしたら「裏切られた」に近い気がする
がたんごとん、と揺れる電車に身を任せて最寄り駅
今日はどうにか取り繕えたけど明日も普通に出来るかな、ヒラくんは安心したような顔してたけど私はまだ事実を受け止めきれないんだけどな、なんて思いながら改札口を抜けると
｢あれっ、Aちゃん？｣
｢えっ｣
聞き覚えのある声に名前を呼ばれ振り向けば、さっきまで話題になっていた今は会社ですれ違うだけの存在になっていた筈の元カレで、ヒラくんの同期であり中等部からの友達の
｢フジ、先輩｣
どうして、こう、タイミングが悪いんだろう
続く (更新停止中)
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右京大河(プロフ) - な〜さん» お返事遅くなってしまい申し訳ございません、そしてコメントして頂き有難う御座います、そう言って頂けてとても嬉しいです。次回もその次も毎週更新楽しみにして頂けますよう頑張っていきますので飽きるまでお付き合いして頂けますと幸いです。 (2020年8月2日 16時) (
レス) id: e1e61173bd (このIDを非表示/違反報告)
な〜 - 見てます！ドキドキします、次回楽しみです！！ (2020年7月4日 4時) (レス) id: 37e03e36d1 (このIDを非表示/違反報告)
ひらもち*アニメ、実況者好き(プロフ) - 右京大河#ポン酢さん» ヒラの情報思い出したんでまたコメさせていただきます(｡･ω･)ﾉ 確かヒラは先端恐怖症だったはずです！ (2016年8月26日 13時) (レス) id: f6f3eef1cd (このIDを非表示/違反報告)
椚(くぬぎ)(プロフ) - 楽しく書けるかは重要だと思いますよ!!お茶目な嘘にかなりビビらされました(笑) (2016年8月25日 23時) (レス) id: 12bda665fb (このIDを非表示/違反報告)
桜田さっちん。(プロフ) - ヒラが可愛い（；＿；）（；＿；）これからも楽しみにしてます！ (2016年8月25日 17時) (レス) id: 20ab6aeafe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：右京大河
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ukyota/
作成日時：2016年8月19日 15時
