大切な人を守る為に《ﾌｧﾝﾀﾋﾞ》 (ページ40)

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ep.39 ページ40

図書室で勉強を終えた後、私はいつものように時計台へと登っていた。

この間、ネックレスを落とした以来行くのを躊躇っていたが、やはりここが一番落ち着く場所だった。

私は今日、出逢ったリタのことを考えていた。
望まれない子ども。苦労を知らない人。

この世に生まれてくる子達は皆、両親に望まれて生まれてくるもんだと思ってた。私の両親は幼い頃に亡くなっているが、辛い気持ちにならないのはきっと、両親に愛されていたからだ。

そんな事も考えずに軽々しく仲良くなろうだなんて…
彼女からしたら気持ちがいいものではなかっただろうな。

『はぁ〜……悪いことしちゃったな……』

自分の軽率な行動を反省していた。
考えれば考えるほど、どうすればいいか分からない。
ニュートが仲良いからって私も仲良くなれるはずないのに…

『ニュート……あの子の事、好きなのかな……』

その言葉に何故だか胸が痛む。

痛くて苦しくて、泣きそうになる。
これは、一体何なのだろう。
感じた事のない、感覚に陥っていた。

私は時計台の柵に腕を置き、腕に顔を埋める。

少し暖かくなった風が私の体をすり抜ける。

「君は相変わらずこの場所が好きなんだね」

『！』

声がして顔を上げるといつの間にか隣にニュートが立っていた。
あの日以来、ニュートはここに来る事が以前より増えていた。

「君がいつもここに来る時は何か悩み事がある時だよね」

『……』

「もしかして、リタのこと気にしてる？」

私の悩み事を的確に言い当てられて思わず身体が小さく跳ねる。
ニュートは小さく笑い、私の頭に手を置いた。

「リタがごめん。本当はとてもいい奴なんだ。変な噂のせいで普段から気を張りつめているみたいで…それで、あんな事しちゃったんだと思う」

『……私も、軽率なことしちゃった。ニュートが仲良いから私も仲良くなれると思って…』

「きっと仲良くなれるよ。大丈夫。君は太陽みたいに明るくて優しい子なんだ。きっとリタもそれに気付いてくれるよ」

いつも私が悩んでここに来る時、必ずニュートがそばにいて慰めてくれる。だから、私は泣かずにいられるのだ。

でも、ニュートが居なくなったら…どうなるんだろう。

不安な事が浮かび上がり、私はニュート袖を掴む。

『ねえ、ニュート。ニュートはあの子の事、好きなの？』

「……え？」

私の突然の質問にニュートは目を丸くした。

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