大切な人を守る為に《ﾌｧﾝﾀﾋﾞ》 (ページ37)

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ep.36 ページ37

私は急いでニュートに駆け寄り、袋の中を確認する。
フワフワで小さな二フラーが袋の中でもがいていた。
その姿が何とも可愛らしかった。

『かっ、可愛い……』

「二フラーはお腹の袋に金目の物を隠す習性がある。だから…多分こうすれば……」

ニュートは突然、二フラーの足を掴んで逆さに吊り上げ上下に振った。咄嗟の行動に驚いた私ニュートの腕を掴んで止めた。

『ちょっ…何してるの！？』

「何って…袋の中から盗んだ物を出してるんだよ」

『大丈夫なの？そんな乱暴にして…』

「多少の事は平気だよ。それよりA、見てて」

再び二フラーを上下に振ると、体から沢山の物が落ちてきた。お皿やスプーン、フォーク、ナイフ、腕輪、宝石、様々な物が小さな身体から大量に出てきた。

『す、凄い…こんなに沢山持っていたのね』

「こいつの袋は見た目以上に物を入れられるんだ。凄いよね。こんな小さな身体なのに沢山の物を盗めるんだ」

いつの間にか私達の足元は盗んだ物が山盛りになっていた。最後にチャリン…と軽い音を立ててネックレスが落ちてきた。

『あ、あった！』

私は転がったネックレスを素早く拾った。
確認すると割れたりちぎれたりしている様子はなかった。
私は安心して深い息を吐いた。

『はぁ〜…良かった』

「全く…人の物盗んじゃダメじゃないか」

気づくとニュートが二フラーに説教をしていた。
私はニュートに抱えられている二フラーにそっと近付いた。

『ごめんなさい、荒い事して。でもこれは私の大切な物なの。……そうだ、代わりといってはなんだけど…』

私は髪に付けているゴールドのヘアピンを二フラーに渡す。
二フラーはヘアピンと私を交互に見つめていた。

『これ、貴方にあげる。使ったもので申し訳無いんだけど…』

はい、と渡すと二フラーはヘアピンを素早く手に取りお腹の袋に突っ込んだ。フンフンと鼻を鳴らしてニュートの腕から降りてその場を去っていった。

私は二フラーに向かって小さく手を振った。
何だかあの子にはまた会えそうな気がする。

『ありがとう、ニュート。貴方のお陰ですぐに見つけることが出来た』

「いや…大した事してないよ。それよりアレ、二フラーに渡して良かったの？」

『いいの。特に思い入れがあった物じゃないし。あの子なら大切にしてくれそうな気がしたから』

「君らしいね」

優しく微笑むニュートに私も小さく微笑み返す。

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