ep.35 ページ36
「キラキラした物に目がない動物なんだ。多分君が落とした時に先に見つけてたんだ」
『どうしよう。取り返せるかな…』
「そんなに難しい事じゃない。金目の物をチラつかせればきっと出てくるよ」
ニュートは捕獲方法を考え始めた。
その様子はとても楽しそうだった。
一緒にいたのに、こんなにも楽しそうなニュートを見るのは初めてだった。
「よし、コインと…何か被せる袋を持ってこよう。原始的だけど、今の僕らにはこれしか方法がない」
『私も手伝う！』
「ありがとう、じゃあAは袋を持ってきてくれる？」
『分かった！』
私は急いで厨房に向かい、麻袋を何枚か貰ってくる。
ニュートのところに戻ると、手にコインらしき物を持って辺りをキョロキョロと見渡していた。
『麻袋貰ってきたよ！』
「ありがとう。じゃあこの壁際のところにこれを置いて……」
『それ、本物のコイン？』
「違うよ。これはコインチョコ。この包み紙でも二フラーは反応するんだ」
『そうなんだ…』
コインチョコを壁際に三枚重ねて置き、麻袋を持ってすぐ近くに身を潜める。ワクワクとした表情でコインチョコを見つめるニュート。私はニュートの後ろに隠れている為、その様子が見えない。少しだけニュートの背中に体重を乗せる。
「えっ………」
『ごめんなさい。ここからじゃ見えなくて。重いよね…』
「い、いや…全然重くないよ！むしろちゃんと食べてる？」
『食べてるよ。そういうニュートこそちゃんと食べてるの？勉強ばっかりしてない？』
「……えっと………」
『人の心配してないで自分の心配しなきゃダメじゃない！ニュートってたまにそういう所あるよね。自分の事後回しにして他人の事優先しがち。それ治さないと身体壊して倒れ 「しっ！」 むぐっ』
ニュートの悪い所を説教していると、突然手で口を塞がれる。
驚いていると、ニュートは私の口を塞いだまま前を指さす。
見てみると先程見た黒いフワフワの生き物がコインチョコ目掛けて歩いていた。
『ニュート、あれよ。さっき私が見たの』
「やっぱり二フラーだ。コインチョコに手が出たら捕まえるよ」
『分かった』
私はニュートに麻袋を渡してその様子を見ていた。
キョロキョロと辺りを見渡して誰も居ないことを確認した二フラーはコインチョコを手に取った。
その瞬間、ニュートは勢いよく飛び出して袋を二フラーに被せた。
「捕まえたよ、A！」
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作者名：Lia | 作成日時：2023年6月29日 19時
