ep.32 ページ33
泣きながら謝罪しかしない私を見て、落ち着かせるように背中をゆっくり撫で始めた。
「その謝罪の理由を、聞いてもいいかな?」
『っ……ネックレス……』
「ネックレス?…それって僕が君に贈った…?」
『時計台の上でネックレスを外したの。そしたら強い風が吹いてきて…っ…落として、無くしちゃったの。とても大切にしてたネックレスだったのに…本当にごめんなさいっ…』
私の話を聞いて、ニュートは納得した。
だから、あんなに必死に探していたのか。
ずっと大切に持っててくれた事に顔が思わず綻んでしまう。
「いいよ。謝らないで。また新しいの買ってあげるから」
『いや!あれがいい!あれは、初めてニュートがくれたネックレスだもん。他の物なんて要らないっ…』
ワガママを言う私を見てニュートは困ったように眉を下げた。
「困ったな。時計台から落としたとなると見つけるのは困難だ。……そうだ」
何かを思い付いたニュートは首から下げていた物を私に見せる。それは、私がニュートにあげた青色のネックレスだった。
「見つかるまでこれを付けてて。僕が絶対探してあげる」
『でも、これは私がニュートにあげたネックレス…』
「うん、僕にとってこれは大切な物だから君の大切な物を見つけるまで預かっててくれないかな?」
ニュートの瞳はとても優しい色を帯びていた。
その奥はとても真剣で、嘘なんか付いてなかった。
私は恐る恐るネックレスを手に取り、ぎゅっと握り締めた。
『ありがとうっ…』
「お礼なんていいよ。……謝らなければいけないのは僕の方だ。勝手に皆と離れて…ずっと話しかけれずにいた。どう…接したらいいのか分からなくて…ずっと悩んでたんだ。でも結果、Aを泣かせてしまった。"一人で抱え込まないで"って言ったのは僕なのに…本当に、ごめん」
私に向かって頭を下げるニュート。
そうか、彼も彼なりにいっぱい悩んで考えてくれてたんだ。
少しでも私達の事を気にかけてくれてるのが分かって嬉しかった。
私はそっとニュートの手に自身の手を重ねた。
『今、ニュートの気持ちが知れて安心した。私達のこと嫌いになった訳じゃないんだって……』
「嫌いになるわけない!僕にとって大切で…大好きな友達なのは変わらない」
『そっか、良かった。私もニュートのこと大好き!』
すると、ニュートの顔がみるみる赤くなっていくのが分かった。
耳まで真っ赤になり、私は首を傾げた。
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作者名:Lia | 作成日時:2023年6月29日 19時