大切な人を守る為に《ﾌｧﾝﾀﾋﾞ》 (ページ19)

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ep.18 ページ19

『"ウィンガーディアムレヴィオーサ"』

呪文を唱えてみるが、羽根ペンはピクリとも動かない
当然の結果に落ち込んでいると、優しく頭を撫でてくれる

「そう気を落とす必要はないよ。君は今まで杖や魔法に関わりのない生活をしていたんだ。すぐに出来なくて当然だ」

『………本当に、出来るようになるのかな』

「たくさん練習をしなさい。そうすればきっと出来るようになる。それまで私も力になろう」

アルバスに言われると本当に出来るかもしれない、と自信が湧いてくる。私はこくりと頷き、扉へと歩いて行く。

『ありがとう、アルバス。私頑張ってみる！』

「応援してるよ」

胸のつっかえが取れ、私は元気に扉を開けて部屋を出る

それから数日間、私はひっそりと猛特訓を続けていた
授業は今まで通りに進んでいく為、教わった魔法も必死に練習を続けていた。

とある日の夜。

今日は気分を変えて外で練習してみようと時計台にやってきた。
そこからの見晴らしはとても素晴らしく、思わず見惚れてしまった。

『……よし、見つかる前に早く終わらせよう』

私は時計台の床に座り込み、持ってきた羽根ペンを床に置く。

『"ウィンガーディアムレヴィオーサ"』

羽根ペンに向かって杖を振ると、少しだけ震え始める
だけど、浮き上がる様子は無い。

今日もダメか〜……。

アルバスの言っていた言葉を信じて毎日練習しているが、羽根ペンが震える程度しか進歩してなかった。
他の人達は次々と魔法を使えるようになっていってる。その様子を見ていると焦りで自分が嫌になってきた。

じんわりと涙が浮かび膝を抱えて座り込む

心が、挫けてしまいそうだ。

『……いっその事、辞めてしまおうかな…』

「辞めちゃうの？」

『！？』

声のした方を振り向くと、ニュートが入り口付近に立っていた。
暗い表情をしているニュートは黙って私の隣に座った。

「僕、知ってるよ。君が毎日毎日練習してること。皆と違って大きなハンデを背負ってるのに、諦めず頑張ってる姿を見てる人は見てるんだ。……僕には到底真似出来ない事だよ。君は本当に凄いね。でも……一人で抱え込まなくてもいいんじゃないかな。誰かに、頼っていいんだよ。僕や、リオン、アレンがいる。僕達、友達だから……何でも相談、して欲しい」

普段、そんなにお話しないニュートが必死に言葉を繋げていた
私の瞳からは大量の涙がこぼれ落ちていた。

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