ネガイゴト (ページ8)

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『また明日ね』「うん、また明日、」

「送ってやるよ」なんて珍しいと思ったんだ。
いつぶりか思い出せないほど久しぶりだったね。

とは言っても、いつもそんなこと言わないでも
いつも家の近くまで顕嵐は送ってくれてたけど。

この日は家の近くじゃなくて家まで送ってくれて、
でもいつも通り別れて。

見えなくなるまで背中を見送った。

いつもなら少し歩いたところで振り返る顕嵐だけど
それをせずに歩みを進めていったね。

振り返らずに、ただ前を見て手を振る姿。
そんな姿もかっこよかったけど…

叶うことない、「また明日」の約束が苦しいよ。

『ねぇ、顕嵐が学校辞めたって嘘だよね？』

美「本当だよ。俺ももう少ししたら辞めるんだ。
一緒に卒業出来なくてごめんな」

『なんで…… なんで何も言ってくれなかったの。
美勇人はどこに行っちゃうの？顕嵐はどこ行ったの？
謙ちゃんは？ …謙ちゃんも、居なくなるの？』

謙「俺はここで卒業するよ。
Aと一緒に卒業してからこの街を離れる」

どこに行っちゃったのか、どこに行っちゃうのか、
何度聞いても返ってくる言葉は「ごめん」だけ。

そんな言葉求めてるんじゃないのに。

行かないで、が聞いてもらえないのなら… せめて
私もみんなと一緒に連れてってよ。

これから先も同じ景色見ようよ。

そう思うのに、…覚悟が伺える美勇人の瞳を見たら
私はそれ以上何も言えなかった。

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