一匹の悪役の話 (ページ36)

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31話ページ36

あの後、いまいち状況がわかっていない私にミスターが説明をしてくれた
女性陣は説明してる間、ずっと私に抱きついて離してはくれなかった
よほど、心配かけたんだろうなぁ

申し訳なく思うと同時に…嬉しいと思ってしまったのは内緒

明日もリクルーティングは予定通り行われる
でも私とエイトフットは魔力が枯渇しすぎて出演は無理だろう、と判断された

「マミはわかるんやけど、あんたはなんでそんな枯渇しとるん？
ジャック達はそこまででもないやろ」

『…あ』

思い当たるのは、私に魔力をうつしたから
おそらく間違いないだろう

エイトフットがキスで

かぁぁっと顔に熱が集まるのがわかる
そうだよね、私、緊急とはいえ、エイトフットと…き、きす、して

真っ赤な私の顔を不思議そうに見るファージャ
その横で、ニヤニヤと意地悪い笑みを浮かべるエイトフット
私の反応楽しんでる…！！

「さぁなぁ…どうだったっけなぁ？なぁマミ？」

『しっ、知らない！覚えてない！』

意地悪！！！

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ひとまず今日は解散になった
ぞろぞろと部屋から出て行くみんなを見送る

ふと、ミスターがエイトフットを呼び止める

「お前ここで休め」

「『は？』」

「さっきまで全員がいたり狭間あけるのに魔力使ったりしたおかげで、ここには魔力が充満してる
傷の治りも回復も早いだろう」

ほら毛布、とどこからか取り出した紫の毛布を彼に渡しあっという間に去って行くミスター
部屋には呆然とする私とエイトフット

「…」

『…とりあえず、座ったら？』

「………」

はぁぁぁぁ…と大きなため息をつき、彼はソファではなく私のベッドに腰をかける
あ、そっちなんだ

なんだか、変な動悸がする
これまで休憩中とか、テラスでの息抜きの時とか、
エイトフットと2人になる時なんて沢山あった

だけどこんな変な気持ちにはなったことなんてない
妙に胸がくるしくて、熱くて
彼をまともに見れない

私今変な顔してないかしら
寝起きみたいなものだし
寝癖ついてない？

そわそわと落ち着かない私に気付いたのか、そっと頬に手が伸びてきた

「…安心しろ、なにもしねーよ」

困ったように眉を下げ苦笑した後、「借りるぜ」と一言断りをいれ部屋のソファに寝転がるエイトフットを見て

何故だかすこし残念だと感じた

私なにを期待したの？

彼の手から伝わった体温が頬に残ってる
その日は、なかなか寝付けなかった